お口のケアががんの死亡率を減少させる

宇都宮兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

今回は、お口のケアとガンについて書きたいと思います。

手術後に肺炎になり入院日数増加や死亡につながることをご存じでしょうか?
歯科医による手術前口腔ケアが、がん患者の術後肺炎発症率や死亡率を減少させることを発表しました。
「British Journal of Surgery」オンライン版に掲載されたものです。
一般的に、がん手術直後は患者の体力が低下し、一時的に肺炎などにかかりやすくなります。
術後肺炎の発症率は2.6~3.5%ほどであり、
重症化すると死亡率が増加し、入院日数が伸びることが、過去の研究で報告されています。
肺炎の発症原因のひとつに、お口の中やのどに存在する細菌を含む唾液が気管内に入ってしまうことが挙げられます。
歯科医が手術前に口腔ケアを実施することで口腔内を清潔に保ち、唾液中の細菌量を減らすことで術後肺炎の発症を低減できる可能性が言われてきましたが、大規模なデータを用いてその効果を実証した研究は今までありませんでした。

研究内容は、2012年5月~2015年12月に頭頸部がん、食道がん、胃がん、大腸がん、肺がん肝臓がんの腫瘍切除・腫瘍摘出術を受けた患者を対象に行ったそうです。
解析対象となる患者50万9,179人のうち、8万1,632人(16.0%)が歯科医による術前口腔ケアを受けていました。
解析の結果、歯科医による術前口腔ケアを受けなかった患者群と比較して、歯科医による術前口腔ケアを受けた患者群では、
術後肺炎の発症率が3.8%から3.3%に低下していました。
術後30日以内の死亡率は0.42%から0.30%に低下していました。
また、がんの部位別に解析を行った結果、とくに食道がんの患者で効果が大きいことが判明しました。
ここで気になるのは、良好な結果が得られるのに、16%しか術前に口腔ケアを行っていなかったことになりますよね。
様々な事情があるとは思いますが、少ない感じがしますね。
当時は、そんなに重要視されていなかったのかもしれませんね。
歯周病の治療やクリーニング等の口腔ケアという体に負担をかけない治療を行うだけで、肺炎や死亡率が改善するという結果が出たので、非常にいい方法かと思われます。

最近は、病院内でオペ前にクリーニングをするところが多くなってきました。

当院でも、連携施設より歯周病治療を行うように紹介状を持って来院される方が多くなってきました。
手術前だけでなく、高齢者の施設についてもこのような文献があります。
高齢者の施設で普段お口の管理していない状態から、口腔ケアをいきなりすると一時的に熱を出すというデータがあります。
ほとんど口腔ケアをしていない状態から、いきなりおこなうと、歯肉の炎症がある状態でお口の中の菌を押し込んでしまうので、全身に菌が全身に回って熱が出ますが一時的なものです。
普段から、きちんと口腔ケアを続けると、様々な病気から体を守ることになります。

長期口腔ケアを行うことにより、発熱を減少させた文献があるくらいです。
本人のお口のケアが難しくなったら、ご家族の皆さんでお口のケアをすることで全身のケアの手助けをすることが出来ます。

宇都宮の済生会では、宇都宮歯科医師会のドクターが手術前に、済生会の病院内で口腔ケアを行ってから手術を行っています。
病院内でそのような施設がない病院でも、かかりつけの歯医者に紹介することもあります。
患者さんとしては、ひと手間かかるのですがそれによってリスクを減らせるのであれば、いいのではないのでしょうか?

お口のケアについての意識調査について書いた記事があります。気になる方は下記をクリックしてください。
アメリカと日本のビジネスマンの歯とオーラルケアに関する意識調査

 

 

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