歯の残存指数とうつ症状について

宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

お口の中と全身疾患との関係について、歯の残っている数とうつ症状について書いていきたいと思います。

 

東京医科歯科大学が、残存歯が多いとうつ症状が少ないという、口腔と精神的健康の因果関係を明らかにしました。

この研究は、同大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の松山祐輔助教の研究グループと、

ラドバウド大学のStefan Listl教授、ヴッパータール大学、キングス・カレッジ・ロンドンとの共同研究によるものです。

その研究成果は、国際科学誌Epidemiology and Psychiatric Sciencesにオンライン版で発表されています。

 

昨今、お口の中と精神的健康の相互の関連が報告している例が多く見受けられます。

しかし、お口の健康が精神的健康に影響するかどうか調べるには、

社会経済状況や健康関心度など様々な背景因子を考慮する必要があり、

これまで因果関係は明らかにできませんでした。

 

また、米国ではう蝕予防のために70年以上前から水道水フロリデーションが実施されていますが、

導入時期や人口カバー割合が地域で異なっています。

日本では、水道水にフッ素を入れることはしていませんが、

虫歯予防に効果的なのは明らかです。

 

本研究は、この差を自然実験(公共政策や災害などの外的要因が、

ある要因を変化させている状況)ととらえ、水道水フロリデーションという外的要因で守られた歯が、

うつ症状を減らすかどうかを明らかにすることを目的としています。

 

2006年、2008年、2010年調査のいずれかに参加した人のうち、1940〜1978年に生まれた約17万人のデータを分析しています。

上記17万人のデータの中から、

永久歯が生える年齢に相当する5〜14歳の10年間における各地域の水道水フロリデーション人口カバー割合を算出。

それを水道水からのフッ化物曝露の指標とし、喪失歯数との相関を調査した。

分析の結果、5〜14歳における水道水からのフッ化物は、

大人になってからの残存歯数に強く関連することが明らかになりました。

さらに、うつ症状を評価するPHQ-8 得点と喪失歯数の相関を調べた結果、

歯を1本失うごとに、うつ症状得点が0.146 点高くなることが判明しました。

また、統計的に有意差が出ないものの、歯を1本失うごとに、

中等度以上のうつ症状(PHQ-8 得点 10点以上) がある人の割合が0.81パーセント・ポイント増えることが明らかになりました。

*PHQ-8(Patient Health Questionnaire-8 depression scale):0〜24点の値をとり、得点が高いほどうつ症状が重度であることを示す

 

お口の病気は多くの人にみられる病気で、日本でも約4,000万人に治療していないむし歯があると推計されています。

一方で、口腔疾患はフッ化物応用の普及、砂糖摂取の減少、禁煙環境の整備などで予防可能である病気なのです。

以上の研究から、自分の歯を多く保つことは、うつの予防にもなる可能性が示されたことが分かりました。

 

この研究から考察すると、

子供のころからのフッ素塗布と虫歯予防治療が重要になってきます。

痛みがないから、学校健診で異常なしと言われたから歯医者に行かないのではなく

むし歯や歯肉炎にさせないために通ってください。

むし歯になってしまうと、元通りの歯にはなりません。

悪くさせないために、定期的な健診が最も重要になることが分かりますね。

FDI(国際歯科連盟)が薦めるむし歯予防には、

水道水フッ化物濃度適正化

学校給水のフッ素濃度適正化    

フッ化物洗口

フッ化物配合歯磨剤

歯科保健活動

キシリトール、パラチノースなどのショ糖の代替え

フッ化物配合シーラント

上記の赤い部分は実現困難かと思いますが、

青い部分は、家で行えることや歯医者で行うことが出来るので

むし歯と歯肉炎予防のため必ず行いましょう。

歯の残存指数が全身の病気と関連するという話でした。

 

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