骨粗しょう症のお薬の服用している方の歯科治療

宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

骨粗しょう症のお薬の服用している方の歯科治療、主に抜歯なのど観血処置について書きたいと思います。

骨吸収抑制薬は、がんの骨転移や多発性骨髄腫に対して広く使われています。

重篤な副作用として顎骨壊死の発症が問題となっています。

顎骨壊死とは、口腔内常在菌などによる感染が起こり、顎骨の組織や細胞が局所的に死滅し顎骨が腐ることです。

痛みや腫れ、膿が出るだけでだけでなく、病的骨折や摂食障害、ときには敗血症など重篤な症状をもたらす可能性があります。

顎骨壊死は、抗菌薬投与などの保存的治療で治癒することは少なく、外科的手術による壊死骨の切除を要する場合がほとんどになります。

このことは、がん治療で苦しんでいる患者にとって大きな負担となっています。

この顎骨壊死の治療や予防について、米国の口腔顎顔面学会や日本の口腔外科学会などによる複数の文献では、

顎骨壊死発症リスクを高める要因として抜歯などの観血処置が挙げられています。

そのため、現時点では、骨吸収抑制薬を投与されている患者に対して抜歯を行わないことが、国内外を問わず一般的となっているのが現状です。

しかし、抜歯を避けることで顎骨壊死の発症を予防できるとする研究結果はこれまでに報告されておらず、

むしろ日本国内の顎骨壊死の患者数は年々急増しているのが現状です。

 

抜歯しなければならない歯を残すと、顎骨壊死発症リスクが増加する

 

多施設共同研究により、骨吸収抑制薬が投与されているがん患者さんから、顎骨壊死発症のリスク因子について検討しました。

361例の顎骨壊死発症率は、

1年で8.1%、3年で18.2%、5年で23.3%とのことでした。

服用してから5年までは、骨吸収抑制剤を長期使用すればするほど顎骨壊死発症のリスクが高くなるとのことですね。

 

骨吸収抑制薬の長期投与や歯周病などの局所感染が顎骨壊死発症と有意に関連していた一方で、

抜歯そのものはリスク因子になっていなかったとのことでした。

さらに抜歯例と非抜歯例の背景因子を傾向を検討したところ、

本来抜歯が必要な歯を温存することで、顎骨壊死発症率が有意に増加することが判明したようです。

 

抜歯などの積極的な歯科治療が顎骨壊死発症を予防する

 

これまでは、顎骨壊死発症を予防するために、できるだけ抜歯を避けることが一般的な方針とされてきました。

しかし、今回の研究結果から、骨吸収抑制薬を投与されているがん患者が歯周病や根尖病巣などの感染源になりうる歯を持つ場合、

早期に積極的な抜歯を行った方が顎骨壊死発症を予防できることが示されました。

そしてこのことは、これまでの文献で推奨されてきた予防策を激しく転換させるものでした。

同グループではこれまで、抜歯前に骨吸収抑制薬の休薬は必要ないことや、

顎骨壊死の手術前にも骨吸収抑制薬の休薬は不要であることなども明らかにしてきました。

今回の研究により、骨吸収抑制薬が投与されている患者の顎骨壊死発症リスクを軽減するためには、

抜歯を含む積極的な歯科治療が重要であることが示されました。

また、骨吸収抑制薬が投与されている患者でも、休薬することなく、必要ながん治療と歯科治療の両方を受けられることが明らかとなりました。

このことから、顎骨壊死の予防だけでなく、がん患者の健康増進やQOL向上にも寄与することが期待されることを望みます。

現在、骨粗しょう症のお薬を服用しているかたの抜歯を延期していることによるリスクを考えると

抜歯を行うほうがいいとの結果です。

以上により、

ガン治療や骨粗しょう症治療により骨吸収抑制剤が投与する前に、

抜歯などの観血処置を行い、歯科治療と全身疾患の治療を並行して行うことが

患者さんのお口と体の健康のために必要なのだということが分かります。

お薬を服用している方は、担当の先生と相談の上決めてくださいね。

 

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