症例紹介

「歯肉が下がって気になるところがある」歯肉移植で改善した症例

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

歯周病が進行し、歯肉が下がったのですが元に戻せますかと聞かれることが良くあります。

結論から言いますと、一度下がってしまった歯茎は自然に戻ることはありません。

歯が長く見えるなど、見た目上の問題だけではなく、放っておくと徐々に進行し、歯を失う可能性や、露出した歯の根の部分は虫歯になりやすかったり、しみる症状が出やすかったりします。

しかし、何もしないで元に戻ることはありません。

さらに、進行して下がってしまう可能性があるかもしれません。

そこで、歯肉が下がった時に行う治療について書いていきたいと思います。

「歯肉が下がって気になるところがある」歯肉移植で改善した症例です。

 

                             

     術前                        治療後

 

ケースタイトル 20代男性「歯肉が下がって気になるところがある」歯肉移植で改善した症例
年齢・性別 20代男性
ご相談内容 「矯正治療後歯肉が下がってしまい気になる。さらに下がってきて進行しないか心配」と、当院へご相談に来れれました。

歯肉が下がったことが主訴で、矯正治療後下の前歯の歯肉が下がってきて歯が抜けないか心配になり来院されました。

カウンセリング・診断結果 診察したところ、歯肉の炎症が認められないものの、歯肉が薄く歯槽骨も薄いことがわかります。

前歯は歯肉が下がり知覚過敏もわずかに起こしていました。

診断結果は、広範型慢性歯周炎 ステージⅠ グレードAです。

大きな虫歯はありませんでした。

行ったご提案・治療内容 歯肉が下がりしみたり痛みがあると、詰め物で対応することが多くあります。

詰め物で充填するとしみるのことは改善できるのですが、着色がつきやすくなることがあります。

当院では、可能な限りそのようなことを防ぐために歯肉移植という治療法を行うようにしています。

本症例では、患者様のご希望に沿って、炎症をある程度改善させた後、歯肉移植を含めた歯周病の治療に専念しました。

術後の経過・現在の様子 術後の経過は良好で、現在も定期的なメインテナンスで通院されています。

 

治療期間 約2か月
治療回数 4回
総額治療費の目安 歯肉移植 保険適用

再生治療の種類によっては保険適応にならないこともあります。

治療のリスクについて ・再生治療後、腫れや出血が出ることがありますが、痛みは痛み止めで落ち着く程度、出血は次の日には落ち着く程度です。本症例では出血は軽微で、痛み止めは2日ほど服用しました

・歯周病治療は十分なメンテナンスを行わないと、再発して進行することがあります。

やまのうち歯科医院 院長より 「矯正治療後の歯肉退縮は、比較的よく聞かれるご相談の1つです。

特に日本人は、歯肉が薄くあごの骨が薄いといわれています。矯正した後歯肉が下がる方は、矯正をしなくても歯肉が下がる傾向が高いという文献があります。

歯肉が薄い方は、矯正する前に歯肉移植を行うこともあります。

男女問わず、世界で最も罹患している病気が歯周病です。歯周病が進行することにより隙間が空き見栄えも悪くなります。

歯肉が腫れていると、歯ブラシが痛くしっかりと磨くことができないと、さらに増悪してしまいます。

歯周病が進行すると、歯が揺れているため、しっかりと噛むこともできず、やわらかいもが中心となり、栄養不足により、お口の筋力から全身の筋力低下になりかねません。

そうなる前に、一度歯医者に相談してみませんか?

気になる方は一度ご相談ください。

本症例は、歯肉退縮を起こした症例となっております。

歯肉退縮とは、歯の歯の周囲を覆う歯ぐきが下がってしまうことです。

歯茎が下がったことで、歯根(今まで歯槽骨や歯ぐきに埋まっていた部分)が露出するような状態の場合は、元と比べて歯が長く見えるようになってしまうこともあります。

また、特に歯肉退縮が起こりやすい場所は下の前歯です。

原因としては歯周炎や歯を支える骨の形態や歯の位置、誤ったブラッシングがあげられます。

歯が長く見えたり、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなったりします。

そのほかの原因として、

〇遺伝による、歯周病にかかりやすい人もいます。

研究によると、30%の人が歯をしっかりとケアしているにもかかわらず歯周病にかかりやすい傾向にあります。

〇ブラッシングのしすぎによるもの。

歯ブラシやフロス、歯間ブラシを使用することは、歯周病治療に最も適した方法です。

しかしながら、間違った方法で歯をブラッシングしたり、ブラッシングしすぎたりすると、歯肉退縮の原因となります。

〇不十分な口内ケアによるもの。

ブラッシングやフロス、抗菌洗口液でのうがいが不十分だと、歯垢が歯石になって、歯の上やすきまに固着しやすくなります。歯石は歯医者さんでないと除去できません。

〇ホルモンのバランスによるもの。

思春期、妊娠、更年期など、女性の一生の中でエストロゲン濃度が変化することによって、歯周病が進行しやすくなり、歯肉が退縮しやすくなります。

〇タバコの為害性によるもの

喫煙者は、歯肉退縮の原因となるねばねばした歯垢がたまりやすくなります。

〇歯ぎしりや食いしばりよるもの。

歯ぎしりや食いしばりによって歯に過度な力がかかり、歯肉退縮の原因となります。

〇歯並びやかみ合わせの不良によるもの。

歯が均等にかみ合っていないと、歯ぐきや周囲の骨に過度な力がかかり、歯肉退縮を引き起こします。

歯肉退縮でも治せるものと治せないものがあります。

全体的に下がっている場合は、改善することが困難になります。

部分的に下がっている場合は、歯肉移植等により改善させる可能性があります。

歯周病により、歯肉の退縮が全顎にわたり認められます。

治療後に歯肉が引き締まり向かって右上の真ん中の歯肉の炎症の改善を認めます。

歯肉移植の前の治療は、歯肉の炎症を改善させる必要があります。

腫れた状態で治療をしても予後が悪いからです。

成功率を下げるようなことはしませんよね。

初診時のレントゲン写真です。

推定的な歯槽骨の吸収は、ほとんどありません。

レントゲン上でわずかな水平的骨吸収を認められるのみでした。

そのため、限局的な歯肉退縮と考え、歯肉を下がりにくくするためと一部歯肉の厚みを作るための歯肉移植を行うこととしました。

再生治療後に痛みや腫れがあることがにあります。

本症例では、数日後痛み止めを服用しなくても大丈夫な状態まで落ち着きました。

 

       

治療終了後18か月後のお口の状態です。

歯肉の炎症は改善し、歯肉の下がりも改善したものの歯肉の裏打ちなので、今後注意深く見ることが必要になります。

歯肉退縮の再発もしていませんでした。

歯肉の腫れもなくなり揺れもほとんどおさまっています。

治療終了後18か月後のレントゲンの状態です。

周病は安定しています。

歯周症を悪化させないためにも、この状態を維持する必要があります。

歯肉が下がったところに、詰め物や被せ物をしてしまうと歯肉移植はできなくなる可能性があります。

しみるからと言って、下がったからと言って安易に詰め物や被せ物をしてしまうとその後の治療が限局されてしまうかもしれません。

気を付けましょう。

歯肉が減った時に行う治療について書いてきました。

今回は歯肉を上げるというより歯肉の厚みを作り歯肉が下がりにくい状態にする方法にしました。

歯肉移植には、

結合組織移植術、遊離歯肉移植術、歯肉弁歯冠側移動術、歯肉弁側方移動術などがあります。

歯肉退縮の状態や口腔内の状態により、治療を決めることになります。

デメリットと注意点として、歯茎の再生治療は、いずれの方法も外科的な処置を行います。

そのため、患者さんの負担が大きい点に注意が必要です。

治療直後に歯茎が開いてしまうと出血するリスクがあるほか、歯茎を移植する処置を行った場合は、治療箇所だけでなく移植する歯肉を採取した場所にも痛みが出ます。

進行状態により、一度ではなく何度か移植をしなければならないこともあります。

ほかに、条件がありますが歯肉を盛り上げる術式としてVISTAという方法もあります。

気になる方は、かかりつけの歯医者に聞いてみましょう。

 

ほかに歯肉が下がる治療を知りたい方は下記をクリックしてください。

歯肉移植と部分矯正

 

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