症例紹介

歯周病治療 歯肉増殖症

宇都宮兵庫塚町の歯医者 歯周病専門医の山之内です。

今回は、歯周病治療の歯肉増殖症について書いていきたいと思います。

歯肉が歯周病で膿を持って腫れるのではなく、歯肉にある線維性組織を中心に増殖する病気を歯肉増殖症と呼びます。

歯肉増殖症には、原因があります。

〇鼻ではなく口を開けて呼吸する口呼吸などが要因で、歯肉に発症する炎症と増殖による歯肉増殖症。

〇炎症を伴わない歯肉の増殖で、上下の歯肉全体が増殖し、歯が歯肉に覆われることもある歯肉線維腫症。

〇種々の薬物によって引き起こされる薬物誘発性歯肉肥大。

口呼吸が要因で、歯肉に炎症とっ増殖を起こす歯肉増殖症は、口から行う呼吸の改善と歯周病の治療や歯ブラシ等でかなり改善します。

炎症を伴わない歯肉の増殖や一部の薬物による歯肉肥大については、歯ブラシや歯石除去などの治療だけでは不十分になります。

降圧剤などの薬剤であれば、ほかの薬剤にすることが可能ですが、ほかの薬剤に変えたり休薬することが出来ないものもあります。

その時の治療法として、歯肉切除術というものがあります。

歯肉増殖症

上記の方は、歯肉が盛り上がり、一部歯が埋まってしまい咀嚼障害を起こしています。

歯肉が盛り上がりすぎて歯の移動も起こしてしまっています。

非常に状態は悪いように見られますが、歯を支えているあごの骨は全くダメージは受けていません。

歯の周りの骨が溶けて歯周病になっているのではなく、歯を支えている骨は何ともないのですが歯肉だけが盛り上がり増殖しているのです。

その場合の治療法は、前述のように歯肉を整形し切除する治療法しかありません。

もちろんその前に、歯ブラシの磨き方や歯石除去などを行う、歯周基本治療は行います。

お口の環境が整ったところで歯肉切除を行うことになります。

この方法は、先ほど書かれたように歯を支えているあごの骨にダメージがない、歯周炎になっていないことが大前提になります。

歯周病と併発している際は、歯肉切除だけでなくほかの歯周外科処置を同時に行うようにいたします。

 

術後10か月後

まだ、歯肉に炎症が認められるものの、奥歯の歯のかみ合わせが歯肉にかぶさらない状態になっており、咀嚼障害の改善が認められました。

埋まっていた歯も、切除によって出てきています。

この方は、薬剤を中止することが出来ないため、再度増殖したら行う必要があるかもしれません。

術後10か月で再度増殖傾向が低いため、定期的なメインテナンスを受けていただいています。

歯肉切除の利点と欠点は、

利点として、

増殖によって受けた咀嚼障害の改善や審美的な改善を行うことが出来ます

欠点として

外科処置を行う必要があります

人によっては再発傾向があるので再治療が必要なります

以上が利点と欠点です。

治療に要した時間は、40分程度です。

痛みは、ひりひり感が数日ほど続いたとのことでした。

金額は、保険治療なのでその金額に準じる価格です。

以上が、歯肉増殖症に対する治療です。

これだけ盛り上がっていても痛みは全くありません。

物が詰まって痛くなることはあるそうですが、詰まっているものをとれば気にならないとのことでした。

放っておくとかみ合わせまで増殖する可能性があるとのことでした。

実際、大学病院で歯がすべて歯肉で埋まってしまっている患者さんを拝見したことがありました。

私は、最初歯がないのかと思っていましたが、レントゲンで歯があることがはっきりわかりました。

その患者さんを治療していたのは、10歳年上の上司が担当していました。

全身麻酔下で上下の歯肉切除を行っています。

歯肉がかなり線維化して為、とても硬かったようです。

そのため、さすがに時間はかかっていましたが、術後も順調で1か月後には、普通通り何でも食事ができるようになったそうです。

もちろんその後は、悪化しないように定期的なメインテナンスを受けていただいて、今後は大きな処置をできるだけ行わないようにしていただきました。

 

口呼吸による歯肉増殖症について気になる方は下記をクリックしてください。

口呼吸による歯肉増殖

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