歯肉が腫れている20代の女性に行った歯周病治療
歯肉が腫れている20代の女性に行った歯周病治療
上下左右の歯肉の腫れと、左上下の歯の揺れを主訴に来院されました。
歯肉が盛り上がり奥歯のかみ合わせまで盛り上がり食事するにも苦労するようになってしまいました。
ひどいときは痛くて歯ブラシもできないとのことでした。
ご相談の通り全体にわたって歯肉の炎症と盛り上がりを認め、上下の奥歯は盛り上がって歯肉をかむくらいになっていました。
本症例は大きな虫歯はほとんどなく、歯周病の治療に専念し噛めるようにすることを優先いたしました。
患者さんのご希望に合わせ、炎症を改善させる治療を優先いたしました。
炎症が改善しても、歯肉増殖による歯肉の盛り上がりがありその部位の改善を行うこととなりました。
歯肉切除を含めた歯周病の治療を行いました。
術後の経過は良好で、現在も定期的なメインテナンスで通院されています。
治療期間は、5カ月ほどかかっています。
治療回数は、トータル14回ほどかかっています。
治療費は、基本保険適用なのですが、治療内容によって保険適応にならないこともあります。
外科治療中は痛みはほとんどありませんが、外科治療後、腫れや出血が出ることがあります。
ただし、痛みは痛み止めで落ち着く程度で、出血は次の日には落ち着く程度です。
本症例では出血は軽微で痛み止めは2日ほど服用していました。
歯周病治療は十分なメンテナンスを行わないと、再発して進行してしまうことがあります。
「歯周病を治したい」というのは近年非常に多いご相談の一つです。
歯周病は、男女問わず悩まれている患者さんが多く、いつ痛みが出るか心配されています。
部位にもよりますが、食事会で痛みが出たら楽しいことも嫌な思い出になってしまうかもしれません。
気になる方は一度ご相談ください。
宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
以下は、歯肉増殖症について一般論を記載していきます。
歯周病の一つ歯肉増殖について
歯肉増殖症とは、歯周病で歯を支えているあごの骨が溶けて、膿を持って腫れるのではなく、歯肉の中にある線維性の組織を中心に歯肉が増殖する病気を歯肉増殖症といいます。
主な原因として、
口呼吸(鼻ではなく口を開けて呼吸する)などの原因で辺縁歯肉に発症する歯肉の増殖である歯肉増殖症
炎症を伴わない歯肉の増殖で、上下の歯肉全体が増殖し、歯が歯肉に覆われることもある歯肉線維腫症
種々の薬物によって引き起こされる薬物誘発性歯肉肥大などがあげられます
ここでいう薬剤とは、
高血圧症、狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗薬であるニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、ニカルジピンなどがあり、炎症があるとより増悪するといわれています。
上記の薬剤は、医科の先生に相談すれば、変更できる可能性があります。
てんかんの治療薬であるフェニトイン、アレビアチン、ジフェニルヒダントインなどのことで、歯肉が増殖しやすい薬剤と言われています。
シクロスポリンA免疫抑制剤であるシクロスポリンAなどにも歯肉が増殖を起こすことがあります。
前述のようにある種の薬を長期に服用し、口腔内の衛生状態の悪い場合に歯肉増殖をきたします。口腔内環境が良好であれば歯肉増殖は抑えられることが多いです。
フェニトインでは約50%、ニフェジピンでは15~20%、シクロスポリンでは25%~30%の患者さんに長期服用によって歯肉に増殖をきたすといわれています。
薬剤によっては、他剤に変更することができない場合もありますので、医科と歯科の先生によく相談してください。
薬剤を変更できなく、歯肉増殖により食事するにも不具合が出る場合もあります。
その際はあきらめるしかないのでしょうか?
そのための治療として、歯肉切除という治療法があります。
もちろん、いきなり歯肉を切除するわけではありません。
お口の中の炎症のコントロール、プラークと呼ばれるお口の中の細菌のコントロールが重要になってきます。
炎症や細菌のコントロールが十分にできても改善しない場合、歯肉切除という治療へ移行します。
歯周病は、口腔内の衛生状態・清掃状態を良好に保つことが非常に重要です。
歯肉増殖が重度の場合には、歯肉の肥大によって、口腔清掃ができないという悪循環になるため、歯肉切除術を行う場合もあります。
薬剤性の場合には、薬の服用を中止することも考えられますが、てんかん治療薬などの場合にはできない場合もあり、最初にお口の清掃から必ず行います。
歯周病は、お口の環境を改善することが重要なので、歯肉増殖症も同様で、治療して改善したからと言ってそのままにすると、再発してしまうことがあります。
清掃しやすい環境に改善したら、再発しないように歯ブラシ等で口腔清掃を行い、定期的なメインテナンスを行うようにしましょう。
今回は、歯周病の一つの歯肉増殖症について書いてきました。
気になる方は、かかりつけの歯医者に聞いてみてください。
口呼吸による歯肉増殖について気になる方は下記をクリックしてください。