高齢者の歯の数と閉じこもりについて
今回は、高齢者のお口の状態と閉じこもりについて書いていきたいと思います。
高齢者の口腔状態と閉じこもり(外出頻度が週1回未満と定義)の関連を調査した研究は少なく、特に口腔機能と閉じこもりの関連は明らかではありません。
また、口腔状態と閉じこもりの関連には「双方向性」がある可能性があります。
閉じこもりがあるから口腔環境が悪化しますし、口腔内環境が悪くなるから閉じこもりになりやすいということになります。
本研究では、26,579名の高齢者の6年間の追跡調査により、口腔状態の4つの指標(歯の本数、口腔機能(咀嚼困難、むせの経験、口腔乾燥症))と閉じこもりについて双方向的に検討を行ってます。
その結果、歯の本数が20本未満だと、20本以上と比べて、6年後の閉じこもりが1.42倍多く、
また、咀嚼困難だと、咀嚼困難がない場合と比べて、6年後の閉じこもりが1.28倍多いことが示されました。
一方で、「むせの経験」と「口腔乾燥症」は閉じこもりを予測しませんでした。
咀嚼困難や歯の本数が20本未満であることの閉じこもりとの関連の効果は、年齢が70歳から75歳になることと同程度ということでした。
反対に、ベースライン時点で閉じこもりであることは6年後の咀嚼困難を予測しましたが、他の3つの口腔状態は予測しませんでした。
口腔の健康と社会的な交流に双方向性の関係があることは、両者を改善する介入のヒントになるものと考えられると答えていました。
本研究成果は、2021年10月3日に、「Oral Diseases」に掲載されています。
歯の本数が20本未満だと、20本以上と比べて、6年後の閉じこもりが1.42倍多いことから、1989年より当時の厚生省と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動は、ここからも間違っていないということが分かります。
もともとは、20本以上の 歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われていることから始まったものです。
また、咀嚼困難だと、咀嚼困難がない場合と比べて、6年後の閉じこもりが1.28倍多いことが示されたことから、歯がなくてもしっかりとした入れ歯を使用していれば閉じこもりのリスクを減らすことが出来るということが分かります。
以上のことから、高齢者の閉じこもりを少なくさせるには、高齢者になる前からお口の中の治療と予防を行うことによりたくさんの歯を残し、歯がなくなってしまった方はしっかりと噛める入れ歯を作ってしっかり噛めるようにしましょうということになります。
むせることと閉じこもりのリスクは、関係性はありませんでしたが接触嚥下が悪いと肺炎のリスクが高くなるので気を付けてください。
歯の数と閉じこもりの関係性について書いてきました。
みなさんも、お口と体の健康のために定期的なメンテナンスを行い悪くなりにくい環境を作っていきましょう。
歯の数は増やすことはできませんが、咀嚼障害を間然する方法はあります。
入れ歯やブリッジ、インプラントなどもありますのでかかりつけの歯医者さんと相談の上、治療方針を決めていきましょう。
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