虫歯の原因 新しい考えかた
宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
虫歯に関してに細菌の考え方について書いていきたいと思います。
①虫歯の原因菌は、以前はミュータンス菌が原因?
現在は、ミュータンス菌だけでなく乳酸桿菌、ビフィズス菌、スカルドビア菌、アクチノマイセス属、ベイヨネラ属、アトボビウム属が言われています。
虫歯は、複数の菌種からなるう蝕関連細菌が作っています。
とはいっても、歯の表面につきやすく初期の状態では最も虫歯に関与するものはミュータンス菌です。
上記に出ている最近は、歯の表面にあるものではなく象牙質と呼ばれる内部まで進行した虫歯に存在する細菌です。
悪くさせない治療、予防治療については後述します。
②虫歯の原因は、砂糖(ショ糖)といわれていました。
虫歯の原因菌は、発酵性糖質(ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理でんぷん)を摂取して酸を産生します。
エナメル質と呼ばれる硬い部分の虫歯は、ショ糖>ブドウ糖、果糖>調理でんぷん の順でショ糖がもっとも虫歯になりやすくなります。
なので、砂糖を使用した食べ物は虫歯になりやすいことが分かります。
ただ、甘いものを食べてないからと言って虫歯にならないということが分かりますよね。
また、根が露出した際の虫歯については、現在は食べ物や飲み物による誘発能は差がないそうです。
③虫歯になりくくさせる善玉菌が分かってきました。
歯肉の上の歯についた細菌の塊には、虫歯の原因菌(酸を出す細菌)を攻撃する抗菌物質(過酸化水素、バクテリオシン)を産生する善玉菌や、アンモニアを出して酸を中和する善玉菌がいます。
このような善玉菌が多いお口の中の方は、虫歯になりにくいといえますね。
④虫歯菌の母子伝播についてです。
現在でも、母親からの電波が最も頻度が高いものの、両親だけではなく祖父母、兄弟、そして友人からの伝播もあることが分かりました。
虫歯の原因菌の伝播はない方がいいですが、ミュータンス連鎖球菌だけが虫歯になるわけでは分かったため、虫歯にさせる菌すべての伝播を防ぐのは困難です。
そして、伝播しても食事指導やフッ化物の使用、適切なブラッシングなどで虫歯の発症を予防することが出来るので、それほど神経質になるほどではないという考えが広がっています。
何事にもほどほどがいいのかもしれませんが、予防治療は必ず行ってくださいね。
⑤歯が溶けるPHはどれくらい。
昭和の時代の高齢者は、歯が少なかったため歯周病が進行して歯の根が出た部位の虫歯の認識はあまりされませんでした。
現在では、歯が残っている高齢者が増えたため、高齢者の歯周病と根が露出した部位の虫歯が増えてきました。
歯の根の部位が溶けるPHは、6~6.5といわれ、歯の上のエナメル質と呼ばれる部位のPH5.5と比較して、弱い酸で溶かされていることが分かります。
⑥虫歯は治る?
かなり以前では、虫歯の治療と言えば、削って被せて悪くなったら来てくださいといわれていました。
現在は、病気の治療は原因を取り除くことです。
それは、虫歯治療でも同様で、空いた穴を付けることは原因除去ではありません。
虫歯の原因は、酸を出すお口の中の常在菌です。
常在菌とは、常にいる菌なので、口から追い出すことはできません。
虫歯治療とは、虫歯が出来る環境にならないようにお口の中を管理することです。
もちろん、管理が不十分ですと虫歯が起こります。
だから、むしば治療には完治はありません。
⑦虫歯の治療は削ること?
20世紀末に、歯の寿命は削れば削るほど短くなることが明らかになりました。
そのため、最小と介入で、できるだけ歯を削らないことという考えが始まりました。
現在でも、最小限度で歯を削るテクニックなどの紹介がされましたが、虫歯になった原因や要員を改善させなければ再度治療することになります。
最小限度で治療したにもかかわらず、予防しなければ悪化するのは明らかです。
初期むし歯の歯の表面は脱灰と言って、歯の表面が少し溶けて白くなります。
適切なブラッシングやフッ化物の使用などによって、かなり長期間かかってしまいますが再石灰化をすることが可能になっています。
虫歯の治療は、予防することだということが分かります。
⑧虫歯の人は少なくなっているのでしょうか?
過去のブログでもお話ししたように、子供や未成年者の虫歯の数は非常に少なくなってきています。
しかしながら、35歳以上の虫歯経験者の数はあまり減っていません。
この年代以降の虫歯が減っていないのか、あるいは、発症年齢が高くなったとも考えられます。
また、高齢者の歯が多く残っているため、高齢者の虫歯が増えました。
以上から考えると、日本で最も多くの方が病気にかかっている疾患は、虫歯ということが分かりますね。
虫歯のことを理解して対策をしましょう。
子供の虫歯について書いてある内容は下記にあります。気になる方はクリックしてください。