山之内文彦 文献集
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
当院の院長の今まで書いた文献や学会発表の内容を記載しました。
ほとんどが歯周病学会ですが、保存学会や雑誌、AAPの学会にも参加させていただきました。
半分以上は大学にいた時のものですが、様々な先生に手伝ってもらい、発表や講演できるようになりました。
現在は、症例発表がメインで行っていますが、専門の先生が集まって行う発表は今まで行った治療の統計をとり、今までの統計と比較して結果が同じなのかよくないのか、副作用が多いのか少ないのかなのを調べた内容も行っています。
このことにより、治療は有効なのかそうでないのかを説明することができますし、エビデンスのみでなく経験則からのデータと比較して行った方がいいかそうでないのかを説明することができます。
そのため、当院で行う治療は治療をして結果が出る治療法のみしか取り扱っていません。
と言っても、100%成功するわけではありません。
最先端の治療だからいいわけではありません。
最先端の治療は、長期症例がありませんし、昔の治療法は結果が出ていますが、新しい治療法の方が良好な結果が出ていることがほとんどです。
実際に行い、同程度の良好な結果が出た治療法のみを行っています。
〇歯周治療にともなう患者のオーラルケアに対する認識度の変化-1995年と2000年の比較
Study on the understanding of the patients for their oral care during the periodontal treatment in 1995 and 2000
当時の医局の上司とともに行った、アンケートの統計を取った文献です。
残存歯の状態や歯数、歯周組織の状態などを簡易に診査し、前回の状態と比較して歯科治療や予防について啓もうできているのか、その結果はどうなのかを調査したものです。
〇キュレット型スケーラーによる部位別の器具の到達性
Effect on the three demensional root surface of instumentation by curet type scalar
キュレット型スケーラーというのは、歯についた歯石や汚れなどを除去する手用の機械です。
歯周病が進行すると、歯周ポケットと呼ばれる部位が深くなり、その部位に歯石や細菌が定着して歯周病を増悪させてしまいます。
その歯周ポケットと呼ばれる部位に、どこまで到達し除去することができるのを調査した文献です。
〇プラークコントロールにおけるバス法の振動数について. 日本歯周病学会会誌. 1998.
同期が発表したのを少し手伝った症例です。
電動歯ブラシ黎明期で、本当に電動歯ブラシは効果があるのか、特に歯周病に対しての電動歯ブラシの効果について記載された文献です。
〇Nd:YAG1レーザー照射の歯根面および歯肉溝滲出液中 エンドトキシン量に対する 効果. 日本歯科保存学雑誌. 2002.
Effects of Nd:YAG Lasser Irradiation on the Concentration of Endotexin in Root Comentom and Gingiral Crevicular Fluid. The Japanese Journal of Conservative Dentistry. 2002. 45. 3(2002)
この文献は、上司の発表を手伝った症例です。
歯周病患者に対して、歯周ポケットの中の歯石除去を行うときに今まで通りのスケーラーによるものと、スケーラーとNd:YAG Lasserを併用して行った統計の文献です。
結果として、臨床的パラメーターには変化はないですが、エンドトキシンと呼ばれる毒素の量が、レーザーを使用した方が良好な結果が出ました。
ただ、レーザーだけで行っているわけではありません。
通常の歯肉の下のスケーラーできれいにしたのち、レーザーを使用した結果ですので、レーザーだけで同程度の結果が出ているわけではありません。
事実、発表はしていないのですが、この発表のずっと前にレーザーによる歯石除去についての研究をしていたことがありますが、当時のレーザーでは十分に歯石は除去できず、当然ですがレーザーは直進しかしませんので複雑な根の形態には対応できません。
現在は、歯肉を開いた状態の歯周外科中に使用することが増えてきています。
〇リポポリサッカライド(LPS)による骨シアロタンパク質の転写の調節
上述に書かれた毒素が生体にどのような悪さをするのかという基礎研究です。
当時の教授や上司、同期、後輩、研究生などたくさんの手助けをしていただき行った論文です。
臨床家からしたら、かなりマニアックな内容なのでここでは細かくは書かないでいきます。
計35ページの内容です。
〇慢性歯周炎に罹患したに対して包括的な治療を行った1症例
ここからは、学会の症例報告です。
エビデンスでいうところの、専門家の意見の次に低いエビデンスといわれるものです。
一症例なんてと思われますが、重度の歯周病の方の症例なので、長期にわたり治療を行い治療後何年も経過したものなので、治療したがあまりうまくいきませんでした症例はだれも見たくありませんし意味がありません。
この治療を、このように行いその後、歯周組織が安定したところで、かみ合わせを考え治療を行います。
このような治療をした結果、長持ちする治療が可能になったという症例を出したり、歯槽骨と呼ばれる歯を支える組織が改善が著しい症例などを出したりします。
どのような治療を行い、どのようなかみ合わせをしたら、長期間安定したかという症例です。
〇2型糖尿病に罹患した慢性歯周炎患者に対して歯周治療を行った1症例
全身疾患と歯周病についての研究が多くされた時期なので、本当にそのようなことがあるのかという考えから行いました。
すべての症例とはいきませんが、その中で特に改善された症例です。
治療後、すぐに効果が出るわけではなく、もちろん治療すると大抵の場合は比較的すぐに改善することが多いのですが、本症例は、長期メインテンスを行うことによって徐々に改善した症例です。
投薬は、初診時からは変わっていませんでした。
もちろん、途中HbA1cや血糖値の上下はありましたが、5年以上の長期メインテナンスを見ていくことによって、安定してきた症例です。
すべての症例をとは言えませんが、歯周病治療と定期的なメインテナンスによって安定することが分かったので全身疾患がある方には歯周病治療とメインテンスを徹底させるような考えを特に持った症例です。
〇聴覚過敏を伴った自閉スペクトラム症に試みた歯科治療の一症例
上記の症例は、日本障害者歯科学会で発表した症例です。
知的能力障害(ID: Intellectual Disability)は、医学領域の精神遅滞(MR: Mental Retardation)と同じものを指し、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校や経験での学習のように全般的な精神機能の支障によって特徴づけられる発達障害の一つです。
日本に、有病率は一般人口の約1%であり、年齢によって変動します。
男女比はおよそ1.6:1(軽度)~1.2:1(重度)といわれています。
認知症などもこれから増えてくることがわかっています。
その対応を考えるために、日本障害者歯科学会でスペシャルニーズ歯科を学んでいます。
〇広範性慢性歯周炎に対してリグロス® による歯周組織再生治療を行った一症例
A case of periodontal regenerative therapy with regroth® for generalized chronic periodontitis.
保険治療でも再生治療を行うことが可能になってきました。
以前からあるGTR法、そして本症例にも出ているリグロスです。
GTR法は何度か行っていますが、保険で行うための材料は決まっているため、その他の材料を使用するときは自費治療になってしまいます。
もちろん今回のリグロスも同様で、他剤を使用する際や適応症ではない場合は自費治療になってしまいます。
本症例は、歯周病治療での治療となっていますので、保険治療で行っています。
これでどの程度改善したのかを出した一症例となっています。
〇カラーアトラス ハンドブック 歯周治療臨床ヒント集にも名前を入れていただきました。
内容は、もちろん歯周病や歯周病治療の専門雑誌ですが、内容は以下に書いてあります。
歯周治療の新しい知見や考え方を取り入れ、ベーシックな治療技術や手技を紹介、全編アトラス形式で、わかりやすく構成している。
臨床に直結した事項を中心に、各章のテーマに対して、目的、適応、術式、症例の順に解説を行っている。
症例は典型的な治療例を供覧できるように配慮し、術式などの理解を深めるためにイラストやシェーマを多用した。新しい歯周治療の手引き書として、臨床研修医ならびに一般開業医必携の書とのことです。
研修医や歯周病治療を始めてみたい先生が読む分には、面白い内容かと思います。
ベテランの先生からみたら少し物足りないかもしれません。
以上が、やまのうち歯科医院院長 山之内文彦が今まで関与した学会発表などになります。
多くの先生方に支えられてやってこられました。
今までの経験を糧に皆さんに還元したいと思います。