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2026年04月13日

噛み合わせが歯周病を悪化させる?研究で解明した「外傷性咬合」の分子メカニズム

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

こんな症状、心当たりはありませんか?

  • 歯ぎしりや食いしばりをよく指摘される
  • 歯周病の治療を続けているのになかなか改善しない
  • 噛み合わせが悪いと言われたことがある

実は、噛み合わせの問題と歯周病は密接に関わっている可能性があります。
今回は、歯周病治療において長年議論されてきた「外傷性咬合(がいしょうせいこうごう)」と歯周炎の関係について、最新の研究成果をわかりやすくご紹介します。


外傷性咬合とは?基本をおさらい

「外傷性咬合」とは、歯や歯を支える組織(歯周組織)に対して、過大な力やバランスの悪い力がかかる噛み合わせのことを指します。

具体的には次のような状況が原因になります。

  • 歯ぎしり(ブラキシズム):睡眠中や無意識のうちに歯をすり合わせる習慣
  • 食いしばり(クレンチング):強く噛みしめる習慣
  • 噛み合わせの不均衡:特定の歯に力が集中する咬合状態

通常、私たちが食事をするときに歯にかかる力は体重の約20〜30kg程度ですが、歯ぎしりでは70〜120kg以上になることもあります。
これが「外傷性(=組織を傷つける可能性のある)」と呼ばれる理由です。


「歯周病の直接原因ではない」—でも見逃せない修飾因子

歯周病(歯周炎)の直接的な原因は、歯周病菌(細菌)です。
プラーク(歯垢)の中に潜む細菌が歯ぐきや顎の骨を破壊していきます。

外傷性咬合は、それ自体が細菌を生み出すわけではないため、歯周病の「直接原因」ではありません。

しかし長年の臨床経験から、歯科医師の間では「噛み合わせの問題がある患者さんは歯周病が悪化しやすい」「咬合調整を行うと歯周治療の効果が上がる」という経験則が共有されてきました。

この関係性を表す概念が「修飾因子(co-destructive factor)」です。
外傷性咬合は、歯周炎を単独では引き起こさないものの、すでに起きている炎症や骨破壊を著しく悪化させる「増幅装置」として働くと考えられてきたのです。

ただし、これまではその**分子レベルでのメカニズム(なぜ、どのように悪化させるのか)**が科学的に明らかになっていませんでした。


最新研究が初めて解明!分子レベルの作用機序

この長年の謎に迫ったのが、今回ご紹介する最新の研究です。マウスを使った実験モデルで、外傷性咬合と歯周炎の関係を詳細に調べた結果、非常に重要な発見がありました。

発見① 外傷性咬合+歯周炎で遺伝子発現が激変する

歯周炎のマウスに外傷性咬合の状態を加えたところ、骨組織における炎症関連遺伝子と骨代謝関連遺伝子の発現が顕著に上昇したことが確認されました。

ここで登場する「遺伝子発現」とは、DNAに書かれた設計図をもとにタンパク質がつくられる過程のことです。炎症や骨の破壊・修復に関わる遺伝子が「スイッチオン」になる数や強さが増えたということ。これは骨が溶ける速度や炎症の激しさが分子レベルで加速することを意味します。

発見② 外傷性咬合「単独」では骨吸収が起きない

一方、外傷性咬合だけを与えたマウス(歯周炎がないグループ)では、骨吸収(骨が溶けていく現象)は確認されませんでした。

この結果は非常に重要です。「噛み合わせが悪いだけでは骨は溶けない」ということを、動物実験で明確に証明したのです。

発見③ 二つが合わさったときだけ「修飾効果」が発動

今回の研究の核心は、「外傷性咬合+歯周炎」の組み合わせで初めて、相乗的な組織破壊が起きることを分子レベルで示した点です。

外傷性咬合が引き起こす機械的な力(メカニカルストレス)が、歯周炎による炎症環境に作用することで、骨破壊を促進するシグナルが増幅される——この「修飾のメカニズム」が、初めて科学的に裏付けられました。


なぜこれが重要な発見なのか?

歯周病の治療は、従来からプラーク除去(歯ブラシ・歯石除去)を中心に行われてきました。しかし、咬合調整(噛み合わせの修正)については、その根拠が「経験則」の域を出ず、科学的なエビデンスが不十分でした。

今回の研究は、この「咬合調整には意味があるのか?」という問いに対して、「あります。なぜなら分子レベルでこういうメカニズムがあるから」という科学的な答えを初めて示したものです。

歯周病治療において咬合調整を組み合わせることの意義が、基礎科学の視点からも支持されることになります。


歯周病が治りにくい人へ——咬合の視点も大切に

歯周病の治療を受けているのに改善が遅い、あるいは再発を繰り返しているという方は、一度「噛み合わせ」の状態についても歯科医師に相談してみることをお勧めします。

歯周病の治療には次の三本柱が重要です。

1. 細菌のコントロール 毎日の丁寧なブラッシングと、歯科医院での定期的なクリーニング(スケーリング・ルートプレーニング)が基本です。

2. 全身的なリスク管理 糖尿病、喫煙、ストレスは歯周病を悪化させることが知られています。生活習慣の改善も治療の一部です。

3. 咬合のコントロール 歯ぎしり・食いしばりがある方にはナイトガード(マウスピース)の使用、噛み合わせのバランスが偏っている場合は咬合調整が有効です。今回の研究はこの第三の柱の科学的根拠を強化するものです。


まとめ:噛み合わせと歯周病は切り離せない関係

今回の最新研究のポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 外傷性咬合(過大な噛み合わせ力)は、歯周病の直接原因ではないが、悪化させる修飾因子である
  • 外傷性咬合が歯周炎と組み合わさると、骨組織で炎症・骨代謝関連遺伝子の発現が顕著に上昇する
  • 外傷性咬合単独では骨吸収は生じないことが、モデルマウスで明確に示された
  • これは歯周炎を悪化させる分子基盤を世界で初めて示した研究成果である
  • 歯周病治療における咬合調整の意義を科学的に裏付ける知見として期待される

歯周病は日本人の成人の約8割が罹患していると言われており、重大な国民病のひとつです。その治療において、歯ブラシや薬だけでなく「噛み合わせ」という視点も取り入れることが、より効果的な治療につながる可能性があります。

気になる方は、ぜひかかりつけの歯科医院でご相談ください。


本記事は最新の研究知見に基づき、歯周病と咬合の関係について一般の方にわかりやすく解説することを目的としています。個々の症状や治療方針については、必ず担当の歯科医師にご相談ください。

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