口腔機能の低下 舌の機能と嚥下障害について
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
口腔機能低下症というのがあります。
口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)とは、加齢や病気などによって口腔内の機能が低下する状態を指します。これには、噛む力、飲み込む力、舌の動き、唾液の分泌、感覚機能などが含まれます。この状態が進行すると、食事や会話が困難になるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
口腔機能低下症の原因
- 加齢: 加齢によって筋力が低下し、咀嚼や嚥下の能力が落ちることがあります。
- 歯の喪失: 歯を失うと、食べ物を十分に噛むことが難しくなります。
- 病気: 糖尿病、神経変性疾患(パーキンソン病など)、脳血管障害などが口腔機能に影響を与えることがあります。
- 薬の副作用: 一部の薬は唾液の分泌を抑える作用があり、口の乾燥を引き起こすことがあります。
症状
- 食事中に食べ物をうまく噛み砕けない
- 嚥下が難しい、またはむせることが多い
- 口の中が乾燥している
- 口内炎が頻発する
- 口臭が強い
予防と対策
- 定期的な歯科受診: 定期的な歯科検診で口腔の状態をチェックし、早期に問題を発見・対処します。
- 口腔ケア: 日常的な歯磨きやフロスの使用、口腔内の保湿などを心がけることが重要です。
- バランスの取れた食事: 硬い食べ物を避け、噛みやすい食材を選ぶことで食事の負担を軽減します。
- リハビリテーション: 口腔機能を維持・改善するためのリハビリテーションが推奨される場合があります。
子供の口腔機能低下症とは、幼少期に口腔の機能が適切に発達しないか、何らかの原因で低下してしまう状態を指します。この問題は、咀嚼、嚥下、発音、さらには全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
原因
- 食習慣: 柔らかい食べ物ばかりを食べることで、顎の発達や咀嚼力の向上が妨げられることがあります。
- 口呼吸: アレルギーや鼻の問題などで口呼吸が習慣化すると、口腔機能が適切に発達しないことがあります。
- 歯の問題: 虫歯や歯並びの問題が口腔機能に影響を与えることがあります。
- その他の健康問題: 神経や筋肉の問題、あるいは発達障害などが口腔機能に影響を与えることがあります。
症状
- 噛む力が弱い
- 食べ物を飲み込みにくい
- 発音が不明瞭
- 口呼吸の習慣
- よだれが多い
対策と予防
- 適切な食事: 硬さや形状に多様性のある食事を提供することで、咀嚼能力の向上を促します。
- 口腔ケアの指導: 正しい歯磨き方法を教えることで、歯や歯茎の健康を維持します。
- 専門的な治療: 問題がある場合は、小児歯科医や言語聴覚士の専門的な診断と治療を受けることが重要です。
- 定期的なチェック: 定期的に歯科検診を受け、口腔機能の発達状態を確認します。
口腔機能低下症は、子供の発達において重要な影響を与える可能性があるため、早期発見と適切な対処が求められます。家庭と専門家が協力して、子供の口腔健康をサポートすることが大切です。
口腔機能において、舌圧は嚥下機能において重要な役割を果たしています。
舌圧の低下が長期介護を必要とする高齢者の嚥下障害および肺炎の発症と関連しているかどうかを調査した研究です。
材料と方法: 舌圧測定と嚥下ビデオ内視鏡 (VE) 検査を、入院中の高齢者 60 名 (男性 33 名、女性 27 名、平均年齢 84.3 歳) に対して実施し、臨床経過との関連を調査しました。
嚥下障害に関連する因子は、Fisher の正確検定と一元配置分散分析によって分析し、その後多変量ロジスティック回帰を行っています。
各変数と生存率の関係は、Cox 回帰によって分析しました。
結果: VE 検査で嚥下障害が認められた患者は 21 名でした。
多変量解析の結果、BMI の低さと舌圧の低下が嚥下障害と有意に相関していることが示されました。
残存歯数の少なさと嚥下障害は、肺炎による死亡と有意に関連していました。
舌圧が20kpaを超える患者は1年以内に肺炎で死亡した者はいなかったが、舌圧が20kpa未満の患者では肺炎による1年累積生存率は44.3%でした。
結論として、舌圧の低下は嚥下障害と有意に関連しており、長期介護を必要とする高齢者の肺炎による死亡リスクを高める可能性があることがわかりました。
文献では、ご高齢の方の研究でした。
舌は筋肉の塊です。
ご高齢になってから鍛えるのではなく、若いうちからしっかりと食べ物をよくかんで生活していきましょう。