50代女性「入れ歯のバネが気になる」ノンクラスプデンチャーの症例
初診時の口腔内
治療終了時の口腔内
しばらくメインテナンスを行ったため一部う蝕が進行してしまう、歯が折れてしまった。
そこの治療と欠損した部位の治療を行うため、できるだけ目立たない入れ歯を作ってほしいとのことでノンクラスプデンチャーを作成しました。
主訴 | 奥歯がなくて噛みにくい。 |
治療内容 | ノンクラスプデンチャーの治療。 |
治療期間 | 4~6週間程度、4~5回程度の通院 |
術後トラブル | 神経がある歯であれば、ある程度歯を削らなければならないので、しみることがあります。 |
治療費用 | 保険治療適応外で自費治療になります。 |
110,000円×1床=110,000円 | |
欠損している歯牙の数によって55,000~220,000円になります。 | |
計 | 計 110,000円 |
長期持たせるためには、定期的な検診を受けていただく必要があります |
ケースタイトル | 50代女性「奥歯の入れ歯のばねの部分が気になる」ノンクラスプデンチャーの症例 |
年齢・性別 | 50代女性 |
ご相談内容 | 「入れ歯を作ったのだけどバネが目立って気になる」と、当院へご相談に来れれました。入れ歯を作ったのだけど、噛みにくいのとバネが目立って使いたくないとのことなので、ほかに方法がないか見てほしい。 |
カウンセリング・診断結果 | 診察したところ、奥歯の一部に歯がなく、見栄えが気になり使用をしていなかったため、前歯に負担がかかり一部動揺が認められました。虫歯と負担過重により歯の一部がかけているところもあり、歯周病治療と虫歯の治療が必要でした。 |
行ったご提案・治療内容 | 目立たない入れ歯とできる限り歯を残したいという患者さんのご希望に沿って、炎症をある程度改善させつつ、虫歯の治療と支間長延長術を行い、歯質を歯肉の上に出す治療を行いました。 |
術後の経過・現在の様子 | 術後の経過は良好で、現在も定期的なメインテナンスで通院されています。 |
治療期間 | 約2か月 |
治療回数 | 5回 |
総額治療費の目安 | ノンクラスプデンチャー 5.5~22万 |
治療のリスクについて | 義歯は、自分の歯と同様に使用するものではありません。金属のバネのように微調整をすることは困難です。
ある程度修理することができますが、大きく破損した場合は作り直す必要があります。 |
クリニックより | 入れ歯を何とかしたいとのご希望は、非常に多いご相談の1つです。男女問わず、世界でも虫歯になっても治療を受けていない方の割合は4割程度といわれています。虫歯や歯周病が進行し、保存不可能になってから治療を受けても抜歯しか治療法がないこともあります。
おかしいなと思われたら、我慢しないで歯科医院へ行ってください。 歯がなくなることにより、しっかりと噛むこともできず、やわらかいもが中心となり、栄養不足により、お口の筋力から全身の筋力低下になりかねません。そうなる前に、一度は医者に相談してみませんか? 気になる方は一度ご相談ください。 |
ノンクラスプデンチャーについての日本補綴学会としての見解は、以下の通りです。
「鉤を有しない部分床義歯(いわゆるノンクラスプデンチャー)について鉤を有する部分床義歯と比較した場合におい て、歯科医学的な見地から、どのような有効性等を有するか。」という問い合わせがあり、本学会としての現時点での見解を以下のように回答しています。
部分床義歯の安定には支持、把持、維持の3要素が不可欠であり、これらは支台装置および義歯床によって確保されます。
残存組織の保全に不可欠なこれら3要素の中で最も重要なものは支持といわれています。
通常これは、支台歯に形成されたレストシートに適合する義歯側の金属製のレストと顎堤粘膜へ適合した義歯床により構成されています。
「鉤を有しない部分床義歯(いわゆるノンクラスプデンチャー)」には、この「支持」に関し、あるものは外見上の理由から金属製のレストを含む支台装 置を割愛し、支持のほとんどを義歯床に依存するような状態になります。
ここが大きな問題であるといわれています。
なお、この種の設計は歴史的に見てもほとんど稀な考え方でと言ってますが、教科書的に記載されているものには、残存歯により上下顎間の咬合支持が保持されている前歯欠損の症例に対する硬質のレジン床を用いた「いわゆるスプーンデンチャー」があります。
現下問題とされているのは、このような硬質のレジン床を用いず、軟質の義歯床材料で、しかも咬合支持の存在に配慮せずに、外観の回復という点のみか ら欠損歯列患者に対し喧伝されているいくつかの種類のもののことを言っています。
これらの「いわゆるノンクラスプデンチャー」については現在(社)日本補綴歯科学会の中にワーキンググループを立ち上げ、日本歯科理工学会と協同して適応に関するコンセンサスを求めているとのことです。
いわゆるノンクラスプデンチャーについては外観の回復についての有効性という光の部分と、適応をあやまった場合に生ずる顎堤の異常吸収、支台歯の移 動という重大な障害を惹起するという影の部分があり、その適応については今後のさらなる科学的な検証が必要であるといわれています。
ノンクラスプデンチャーが悪いといっているわけではありません。金属製のレストを含む部分入れ歯本来の機能を割愛する入れ歯が良くないといっているだけです。
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