入れ歯になった方へ見てもらいたいブログ
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
本日は、入れ歯についてお話しします。
入れ歯には、噛み合わせを回復させたり、失った歯の部分の外観を回復させたりというようにいろいろな役割があります。
しかし、入れ歯を快適に使うためには、お手入れが欠かせません。
お手入れを欠かすと、かえって健康を害することもあります。
そこで、今回は、入れ歯の効果的なお手入れ方法や、お手入れを怠ったときのリスクなどについてお話しします。
入れ歯の種類
入れ歯は、総入れ歯と部分入れ歯の2種類あります。
総入れ歯
総入れ歯は、全く歯がなくなった方向けの入れ歯です。
保険診療の総入れ歯は、人工歯以外の部分が全てピンク色のレジンというプラスチックで作られていますが、そうでない総入れ歯は、内側が薄い金属で作られています。
部分入れ歯
部分入れ歯は、部分的に歯を失った方向けの入れ歯です。
残された歯にクラスプという金具を引っ掛けるように作られています。
部分入れ歯にも保険診療のタイプと、そうでないタイプがあります。
入れ歯はお手入れが不可欠
入れ歯のお手入れを欠かすとどうなるのでしょうか。
ニオイの原因となる
入れ歯をきれいにしておかなければ、入れ歯の表面の目に見えない小さな凹凸に汚れが入り込み、そこに細菌が繁殖します。
この結果、ニオイが生じます。
お手入れを欠かした入れ歯は、口臭の原因にもなります。
虫歯や歯周病を引き起こす
部分入れ歯のお手入れができていないと、プラークが付着します。
プラークには虫歯や歯周病の原因菌が潜んでいるため、クラスプという金具の周囲から虫歯、入れ歯と歯の間から歯周病が起こります。
なお、総入れ歯の場合は歯がないので、虫歯や歯周病のリスクはありません。
カビが発生する
入れ歯にもカビは発生します。
初めは、カンジダというお口の中ではよくありふれた白カビが発生します。
一見したところは、カビのイメージとは異なり、白い円形の付着物です。
これが何箇所にも生じます。
この状態からさらに進むと、黒カビに変わります。
歯石が付着する
入れ歯にも歯石はつきます。
入れ歯の裏側に、乳白色の石のようなものがついていたら、それが歯石です。
歯の表面につく歯石と同じく、入れ歯の歯石もなかなか取れません。
入れ歯の歯石を取り除くためには、歯科医院で専用の器械を使う必要があります。
誤嚥性肺炎のリスクを高める
入れ歯表面に細菌が繁殖し始めると、これが肺に入り込むリスクが高くなります。
これが誤嚥性肺炎です。
肺炎は、日本人の死因のトップに入る恐ろしい病気です。
入れ歯のお手入れ不足は、こうした病気を引き起こすリスクもはらんでいるのです。
口内炎も起こる
プラークやカビ、歯石がついた入れ歯の表面は、細菌の量が非常に多くなっています。
この細菌が毒素を産生することで、お口の粘膜(お口の皮膚のこと)が傷つけれられて、赤く腫れたり、ただれたりします。
入れ歯のお手入れの方法
入れ歯のお手入れのタイミングは、食事の後と寝る前です。
毎食後のお手入れ
食事をすると、入れ歯の裏側を中心に食べ物が挟まったままになりますので、必ずきれいにお手入れしてください。
①洗面器に水を張る
まず、洗面器に水を張ってください。
水道で直接洗うと、小さな部分入れ歯の場合、手を滑らして落とすと、そのまま流してしまうことがありますし、大きな入れ歯では、落として割れたり、ヒビが入ったりすることがあるからです。
ぬるま湯ならいいですが、熱いお湯を使用しないで下さい。
入れ歯が変形することがあります。
②入れ歯用ブラシで洗う
新しいうちは、水で洗うだけできれいになりますが、使っているうちにそれだけではなかなかきれいにならなくなります。
汚れが取れにくくなってきたら、入れ歯を磨くための専用ブラシがありますので、それを使ってお手入れしてください。
③スポンジやガーゼも効果的
食器洗いに使うスポンジを使って洗うのもおすすめです。
もし、片麻痺がある方は、吸盤付きのブラシを使って、ブラシを壁に固定して洗うと洗いやすいですよ。
寝る前のお手入れ
食後だけでなく、寝る前にも入れ歯はお手入れしてください。
①洗面器に水を張る
食後のお手入れと同じく、まず洗面器に水を張りましょう。
②入れ歯用ブラシで洗う
寝る前の入れ歯は、食後の入れ歯と違って、食べかすはありませんが、表面がヌルヌルとしていることが多いです。
これは、入れ歯の表面に細菌が繁殖しているからです。
入れ歯用ブラシや食器洗い用のスポンジなどで、洗ってヌルヌルを取り除いてください。
③入れ歯用洗浄剤に入れる
入れ歯洗浄剤を使うと、入れ歯の表面についた細菌やカビ菌などが取り除かれて、きれいになります。
入れ歯用ブラシで洗った後は、1日1回でもいいですから、入れ歯用洗浄剤に入れ歯を入れて、表面の細菌やカビ菌、見えない汚れなどをきれいにしましょう。
入れ歯のお手入れ時の注意点
入れ歯のお手入れにも注意しておいてほしいことがあります。
洗浄の水は毎回交換する
ご家族の中で、入れ歯を使っている人が何人かいらっしゃる場合、入れ歯を洗うときの洗面器の水は、各人ごとに交換してください。
入れ歯についている細菌が、跳ねた水を通して、他の方の入れ歯に移ってしまう可能性があるからです。
固い歯ブラシで洗わない
歯ブラシは、入れ歯よりも硬い歯を磨くために作られています。
入れ歯を歯ブラシで磨くと、入れ歯に傷が入る原因となりますから、歯ブラシで入れ歯を磨かないようにしてください。
バネはより丁寧に
部分入れ歯の金属のバネ部分は汚れがつきやすい部分です。
しかも強く握ったりすると、簡単に変形してしまいますし、金属疲労を起こすと折れることもあります。
その他の部分よりも丁寧にお手入れするようにしてください。
部分入れ歯も必ず外してお手入れする
どれだけ小さな部分入れ歯であっても、入れたまま他の歯と一緒に歯ブラシで磨かないようにしてください。
クラスプの部分だけでなく、歯と入れ歯の間も外さないと磨けませんし、入れ歯の裏側はどうやってもきれいにはならないからです。
また、うがいのときに外れて流してしまう可能性もあります。
熱湯や漂白剤は使わない
熱湯で洗ったり、漂白剤につけたりすると、入れ歯が変形したり変色したりする原因となります。
熱湯や漂白剤は使わないようにしましょう。
専用な洗浄剤を使用しましょう。
まとめ
今回は、入れ歯のお手入れについてお話ししました。
入れ歯はお手入れを怠ると
①ニオイ
②虫歯や歯周病
③カビ
④歯石
⑤肺炎
⑥口内炎
などさまざまなトラブルの原因となります。
入れ歯のお手入れは、
①洗面器に水を張る
②入れ歯用ブラシで洗う
③寝る前は洗浄剤につける
などがポイントです。
当院では、入れ歯のお手入れ方法の説明も行っています。
もし、入れ歯のお手入れ方法がよくわからないという方は、当院でぜひご相談ください。
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