ドライマウス 対処法
今回は、ドライマウスについて書いていきます。
一般的には、ドライマウス(乾燥口症候群)とは、唾液の分泌が不十分な状態を指します。
唾液は、口の中の乾燥を防いだり、食物を咀嚼しやすくしたり、歯の表面を清潔に保ったりするために非常に重要な役割を果たしています。
しかし、唾液の分泌が不十分な場合は、口内が乾燥して不快感を覚えるほか、口内環境が悪化し、虫歯や歯周病などの口腔疾患が引き起こされる可能性が高くなります。
ドライマウスの原因は、口腔内における唾液腺の損傷や破壊、薬物治療や放射線治療による副作用、自己免疫疾患、ストレスなど、様々な要因が考えられます。また、高齢者や女性に多くみられる傾向があります。
ドライマウスの治療法は、原因によって異なります。唾液の分泌を刺激するために、食事中によく噛む、唾液代替液を使用する、口の中を潤すために水を飲む、加湿器を使用するなどの方法があります。また、原因に応じた薬物療法や、唾液腺の刺激を促すためのマッサージや運動療法も行われることがあります。そのほか、ドライマウスによって引き起こされる口腔疾患の治療も必要となります。
歯科医院にはドライマウスで悩む患者様が多くいらっしゃいます。
お口のことを扱っているので相談されることはよくあることです。
分泌刺激剤の長期投与は分泌細胞の疲弊と減少をまねき、かえって悪いという考えもありなかなか簡単に処方に頼れないところもあります。
そのため、ドライマウスの治療は処方以外の保湿や筋肉トレーニングが主で、これは歯科医師の仕事だと考えています。
ドライマウスは唾液量の減少、お口のネバネバ感や痛みを主訴とする疾病で中高年の女性が多い疾病です
日本人の1/4(3000万人)は口腔乾燥症があり、そのうち50万人はシェーグレン症候群と推測されています。
しかし50万人いると推測されている内7万5000人がシェーグレン症候群として厚労省に認定されていて、残り42万5000人が診断されていない可能性があります。
口腔乾燥と言うと「歳をとったからだ!」といわれますが、唾液腺は加齢に非常に強い臓器で、心身ともに健康で年を重ねたならばそう簡単に口は渇きません。
他に原因があると考えたほうがいいかもしれません。
以下に診断・原因・治療を書きましたが、原因除去はなかなか困難で対処療法が主になると思われます。
以下は、斎藤一郎先生の「ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と対処法」をまとめたものです。
ドライマウス(口腔乾燥症)の原因と対処法
1.カンジタ症 舌痛症や口の中の痛みがある時 抗真菌剤(フロリードゲル)を塗布または内服します
2.口角炎 両側にある場合はカンジタを疑う 抗真菌剤を投与します
3.平滑舌 味蕾の障害によって味覚異常(味がなくなったり、かえって強く感じたりする)
4.その他 う蝕 歯周病 粘膜疾患 味覚障害 口臭 上部消化管(咽頭・胃)障害 摂食嚥下障害があります
以下の原因が単独で、または重なり合ってできます。原因が除去できるものは除去しますが、それ以外は保湿等の対処療法になります。
全身的な疾患によりドライマウスになる方は、以下の病気が挙げられます。
① 糖尿病
糖の排泄に伴って、水分も排泄され脱水することにより口喝になります。
② シェーグレン症候群
歯科医師が診断して、処方できる疾患 目と口の乾燥感を主症状とする難病のひとつです。
③ 腎不全
30万人いるといわれ、透析の際に脱水される。水分を溜めないために水をあまり飲めないため重度のドライマウスが生じます。
④ 更年期障害
急激な女性ホルモンの低下によって生じる症状です。
⑤ ストレス
安静時と刺激時唾液の低下ないにもかかわらず、口腔乾燥を訴える患者様が1/3程度、かなり効率でいらっしゃいます。だれでも 緊張すると口が渇きます。これは心療内科的な対応が必要と思われます。
対処法として
1. ストレス・心身症が原因であれば、心療内科に紹介することもあります。
2. 歯科医師がおこなう口腔筋機能療法:
極端に言うと、笑っていると気分がよくなります。つまり楽しいから笑うのではなく、おもしろくないときでも無理やり笑っていると気分が楽しくなりますといわれています。
表情筋を動かすことによって心のありようを変えることができるということです。また表情筋を鍛えることによって分泌量を増やせますから2重の効果があるといわれています。
⑥ 筋力の低下
加齢と共に筋力が低下し分泌が下がります。年を取って唾液が少なくなったというのがこれではないかと思います。
対処
筋肉トレーニングの口腔筋機能療法で対処します。
時間がかかりトレーニングはしんどいですが、効果があるといわれている方法の一つです。
⑦ 薬の副作用
対処
同じ効果の口渇がない薬に変えることを担当医に依頼する また薬に頼らない生活に変えることで対処します。
患者様の飲んでいる薬で口渇が副作用としてあるものを調べるとたくさんあります。
以下はほんの一例です。
1.抗精神剤・睡眠導入薬・抗うつ剤
2.抗圧剤
3.抗アレルギィー剤 花粉のアレルギィーの時期では抗ヒスタミン剤
4.胃液の分泌を抑えるくすり(PPI・H2ブロッカー)
5.抗コリン薬(頻尿を抑える薬 800万人いる 夜中にトイレにいって転倒して骨折の危険)非常に唾液の分泌を抑える バップフォー
内科ではコップに水を入れておくことをすすめています、保湿プレートを装着して対処します。
実際の治療は困難な点もあります。「口渇」が副作用の欄にのっていて、薬を変えることがちょっと不可能に思えるケースがありました。
高齢の方は多種、大量の薬を服用されているケースが多いです。飲まれているどの薬がどの程度「唾液の減少」に関係しているか不明ですし、データーもありません。
⑧ 老化
一般に加齢とともに口腔乾燥はすすむものと考えられていますが、唾液腺は加齢に非常に強い臓器で、心身ともに健康で年を重ねたならば口は渇きません。
ストレスや薬剤の副作用などが口腔乾燥の原因と考えられます。
⑨ 就寝中の開口によるもの
日中は乾燥感がなく夜間の乾燥感や起床時の不快感があります、これは口呼吸が原因です 1.寝るときの体位を変えてみる 抱き枕など
2.鼻閉塞があれば耳鼻科に紹介
3.睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります 耳鼻科に紹介することもあります
① 保湿
舌の粘膜の再生は2週間なので、保湿を2週間きっちりしてもらうことで味覚障害や平滑舌が改善されることが多い症例です。
保湿スプレー・保湿薬・保湿ジェル
保湿装置は、はぎしり防止装置のような形をしています 中に保湿剤などをいれて夜間の乾燥を防ぎます
② 分泌刺激剤
1.塩酸セビメリン(サリグリン エボザック)
2.塩酸ピロカルピン(サラジェン)
これらは適応がかぎられていて、原因が頭頚部の放射線治療かシェーグレン症候群のみに適応です 効果はあり症状は改善されますが、患者様が 唾液が増えたことを自覚するほどではありません。一時的に使うことは有効と思われます。漢方薬を使うこともひとつの方法です
③ 筋肉トレーニングOFT(口腔機能療法Oral Functional Therapy)
1.ホッピング
舌打ちをする運動です。口を大きくあけて舌尖を硬口蓋につけ、奥にずらして舌打ちをします。それを10回行います。
2.舌ぐるぐるエクササイズ
頬部や唇部を押すようにしながら、舌をぐるぐる回します。1回転8秒で、少し疲れるまで繰り返します。
3.空気プクプクエクササイズ
空気でほっぺを膨らませます。右頬→左頬→上唇部→下唇部 4秒づつ 1回計16秒
などなど、対処療法になりますが、増悪させないための方法となります。
以上の方法を試しても改善しない場合は、かかりつけの歯科医か医師に相談してみてください。
ほとんどが対処療法となってしまいますが、ドライマウスかひどくなるとかなりつらい症状と聞いています。
気になる方は、試してい見てはいかがでしょうか。