コラム
2023年04月17日

悪習癖ありませんか? 態癖について

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

今回は、悪い癖によってお口や周囲のトラブルが起きる可能性があるのでそのことについて書いていきます。

日常の「癖」で歯並びや噛み合わせが悪くなることがあるのをご存知ですか?
特に永久歯への生え変わり時期のお子様は、歯が動きやすい環境にある上、噛み合わせを左右する大切な時期であるため要注意です。
知らず知らずのうちに行っている癖を知り、お口の問題を改善するアドバイスを行います。
態癖とは、日常の生活習慣の中で行っているお口に悪い影響を及ぼす癖のことです。
歯は、50gほどの弱い力でも持続的に加われば動くといわれています。

50gほどの力とはどのくらいかというと、

  1. ペンの先にかかる力:普通のボールペンの先には、書くために必要な力がかかります。この力は約50グラム程度と考えられます。
  2. スマートフォンの画面タッチ:スマートフォンのタッチ操作には、指先からスクリーンにかかるわずかな力が必要です。
    50グラム程度の力がかかると考えられます。
  3. 小さなオブジェクトの持ち上げ:50グラム程度の重さの小さなオブジェクトを持ち上げるには、50グラム程度の力が必要になります。
  4. ゴムバンドの張力:ゴムバンドを引っ張ると、バンドに張力がかかります。50グラム程度の力をかけると、バンドは伸びて50グラム程度の重さを支えることができます。
  5. 蝶々の翅の打撃:蝶々の翅は、とても軽くて柔らかいため、非常に少量の力で動くことができます。50グラム程度の力で、蝶々の翅を動かすことができます。

以上が50gくらいの力といわれています。
非常に弱い力で歯が移動することがわかります。
日常での食いしばる癖や寝方、頬杖など、ささいな癖が長期にわたることにより、噛み合わせや歯並び、顎関節、さらには全身に影響を与えることもあります。
反対に、生活習慣を見直すことで、お口の問題を解決できることもあるのです。
態癖の改善等によって、症状の軽減、全身の健康のための生活習慣指導を行うようにしています。
態癖は、身体の歪みに影響を起こすこともあります。
噛み合わせは、全身のバランスの一つです。
噛み合わせが悪いと、全身の姿勢が歪みます。
反対に姿勢の歪みは、噛み合わせを歪ませ、歪みの悪循環を引き起こすこともあります。
まずは身体を歪ませる生活習慣に気づき、よくない生活習慣を改めることが、全身のバランスケアの第一歩です。
意識のコントロール次第で態癖は改善することもできます。

それでは、態癖があるかチェックしてみてください。

チェック1
寝るときの姿勢はどうですか?
チェック2
読書するときなど、頬杖をついていませんか?
チェック3
テレビをどんな姿勢で見ていますか?
チェック4
過去も含め、爪を噛んだり指しゃぶりをしていませんか?
チェック5
お口を使うような楽器をしていませんか?
どうでしょうか?
ひとでもチェックがある方は、徐々にバランスを崩す可能性がありますので気を付けてくださいね。

態癖の種類とその影響

〇口まわりの筋肉へかかる力の癖
爪噛み、唇を巻き込む、エクボをつくる、指しゃぶりなど

〇頬から下の部分に加わる力の癖
頬杖、横向き寝、うつぶせ寝、体育座りで顔を膝に乗せるなど

〇肩・首の上を歪ませる力の癖
重い荷物、食事の姿勢、趣味の読書やゲームなど

態癖の例:頬杖を続けていると、手の当たっている部分の歯が内側へ倒れてしまうことがあります。
例えば、小さいお子様にみられる指しゃぶりや頬杖をついたり、いつも同じ方向を下にして寝ているなど態癖の種類は様々あります。
そのような悪い癖が日常的にあると、歯や顎に継続的に力がかかり正しいかみ合わせが崩れてしまうのです。
実は歯はわずかな弱い力でも継続的に力が加わることで動いてしまいます。
矯正治療とはそのような原理を応用して歯を動かしています。

お子様によくある態癖には以下のようなものがあります。
当てはまるものがないか一度チェックしてみてください。
◎指しゃぶり(自分の指を吸ったりしゃぶったりする)
◎咬爪癖(指の爪を噛む)

◎舌突出癖(舌を前に押し出す)

◎咬唇癖(上唇や下唇を咬む)

◎口呼吸(口で息を吸ったり吐いたりする)

正しい呼吸は口呼吸ではなく、鼻呼吸です鼻が詰まっていたり扁桃腺が腫れている人に多くみられます。
口呼吸については、小児期では中鼻道が狭く扁桃腺が大きく、鼻が詰まりやすいことが多いので鼻呼吸が困難な場合が多く見受けられます。
無理はさせないようにしてください。

◎頬杖をつく(机や床に肘を立てて顎や顔に手を宛てがう仕草)

◎寝方(横向き寝、うつ伏せ寝)

いつも決まった方向を下に向けて寝ている
◎食べ方(片側咬み)
食事の際に左右どちらかでばかり噛んでしまう

◎歯ぎしり、くいしばり
寝ている間の歯ぎしりや集中しすぎた時のくいしばりなどいかがでしたか。
当てはまるものはありませんでしたか?
いつも何気なく行っている仕草や癖が、実は歯並びに大きく影響を与えている場合があります。
また態癖は歯並びに影響を与えるだけではなく、顎関節症や全身の不調の原因につながる可能性もあるのです。
矯正治療中、装置をつけて歯を動かそうてしても、態癖があるとなかなか歯が動かなかったり、せっかく治療した歯並びがまた元に戻ってしまうこともあります。
こうした態癖に気づき、行わないようにすることで改善される場合があります。
長期間にわたる態癖はなかなかやめることが難しくなります。
早い時期に認識し、日常生活の中で家族で注意しあったり意識してやめるようにすることが大切です。

口呼吸や態癖による身体的な影響

歯並びや咬み合わせが悪くなる原因の多くは、成長時期の口呼吸や態癖(頬杖やうつ伏せ寝など)と考えます。
健全な成長発育を促し、生涯にわたっての健康な身体づくりと明るい笑顔のために手助けできるよう心がけております。

口呼吸による身体的影響と不正咬合について

鼻腔、上顎、気道が狭まり出っ歯や乱杭歯、開咬などの不正咬合になりやすいです。
長期の指しゃぶり、舌突出癖などの悪習癖から移行しやすいです。
就寝中、口で呼吸しやすい姿勢を探すため寝相が悪くなります。
鼻呼吸に比べ酸素量が不足するため、睡眠中に深く眠れず(質の悪い睡眠)、逆に昼間眠くて物事に集中できなくなります。ひどくなると睡眠時無呼吸症候群になります。
また、目の下にうっ血(クマ)が目立つようになります。
脳への酸素量不足による学習能力の低下を起こしかねません。
身体全体の酸素供給不足により身長が伸びない、運動能力の低下などの発育に影響を及ぼしかねません。
猫背になりがちで姿勢が悪くなります。
口からダイレクトに菌やウイルスが身体に入りやすく、風邪をひきやすかったり、インフルエンザ、新型コロナウイルスにかかりやすいです。
口からダイレクトにハウスダスト、ダニや花粉などのアレルギー源が入りやすく、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息などが治りにくいです。

態癖(頬杖やうつ伏せ寝など)による身体的影響と不正咬合について

癖とは日常の生活習慣の中で無意識に行うさまざまな習癖のことで、頬杖、横向き寝、うつ伏せ寝、片側咬みなどです。
出生時からのうつぶせ寝の習慣や寝ながらの授乳などが、態癖を起こしやすいと考えられます。
うつぶせ寝により上顎、下顎が圧迫されて顔のゆがみの原因になるだけでなく、胸の圧迫により口呼吸になりやすく、ひいては全身のゆがみにつながりかねません。
頬杖、片側咬みなどは歯並びや咬み合わせのゆがみを生じさせます。
顎の関節も押し付けられるので、顎関節症を引き起こし顎の痛みや口が開かない、雑音や耳鳴りなど症状を起こすだけでなく、悪化すると偏頭痛、肩こり、首や背中の痛みを生じる場合があります。

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