認知症の種類 口腔の特徴 症状
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
今回は、認知症について書いていきたいと思います。
歯科には関係ないと思われますが、認知症の治療に関しては関係ありませんが、お口との関連性は非常に高い分野なのでとても重要な医療となってきています。
認知症とは、脳のなんらかのトラブルにより認知機能が低下し、生活に支障をきたす状態のことです。
誰もがなりうる可能性があり、近年日本では認知症への理解を深める取り組みや社会づくりに力を入れています。
認知症とは、脳に起きるさまざまな不調が原因となり認知機能が低下し、日常生活に支障がでる状態を指します。もの忘れが多くなるのは歳相応の変化といえますが、普段やっていたことができなくなるなど、生活への支障がではじめると認知症の可能性が高まります。
認知症にはいくつかの種類があり、代表的なものは次の4つです。
アルツハイマー型認知症
脳に委縮が見られるのが特徴の病気で、CT画像検査で残っている歯が少ない人ほど脳萎縮が進んでいたという報告があります。
さらに、アルツハイマー型認知症の人のほうが、健康な人より残っている歯が少なかったという調査結果により、噛むことが脳を活性化することもわかっております。
噛むことで刺激が脳へ伝わり、伝達物質を増やすというものです。
この伝達物質の量が減るとアルツハイマー型認知症を引き起こす原因のひとつになるといわれます。
箸やスプーンの使い方がわからなくなることがあります。また、認知症が進行するにつれ、道具をうまく使えず、食べ物を口に運べなかったり、食べこぼしなどが見られるようになります。
ただし、嚥下機能は比較的長く保たれます。軽度から中等度の段階では嚥下障害はあまりみられず、あったとしても軽度です。高度の認知症状態まで進行すると、嚥下機能の低下が顕著になってきます。
血管性認知症
脳血管性認知症は原因が脳卒中であり、動脈硬化が脳の血管に起こるものです。
歯周病菌が動脈硬化をおこして血管に付着すると、血管を狭める作用を促進すると考えられる為、歯周病を防いで動脈硬化のリスクを減らすことが、脳血管性認知症のリスクを減らす可能性があります。
脳血管障害によって、摂食(食べ物を目で確認して口に入れる)および嚥下(噛み砕いた食べ物を飲み込む)に関連する知覚や運動の障害が生じると、うまく食べられない、かめない、飲み込めない、むせるなどの症状が認められることがあります。
このような嚥下障害の原因疾患の約40%が脳卒中であるといわれています。
嚥下(えんげ)障害への対応
嚥下障害が生じると、食べられないことによる栄養の低下や、食べ物の気道に流入する「誤嚥(ごえん)」による肺炎(嚥下性肺炎,誤嚥性肺炎)が起こることがあります。
嚥下障害が軽度な場合には、誤嚥が起こりにくいようにやわらかく調理する、ゼリー状にする、とろみを付けるなどの工夫を心がけましょう。
また、口腔ケアも大切です。丁寧なケアを継続することで、口腔内の細菌を除去し、口腔内の衛生状態を改善させることができます。言語聴覚士による嚥下障害に対するリハビリテーションも有効です。
レビー小体型認知症
視知覚認知機能障害により、食べ物の中に糸くずや虫などが見える幻視や誤認妄想のため、食べること自体を拒否する拒食などが認められます。
パーキンソニズムを呈している場合は、口腔(口からのどまでの空洞部分)と咽頭(食道や気管につながる管)の協調運動が難しくなり、飲み込みの障害もたびたびみられます。
また、早期から覚醒度の低下をきたすケースでは、食べ物を口腔内に溜め込み、咽頭の協調運動とは無関係に機械的な機序でむせこみが生じます。
筋強剛や動作時の振戦により口元へのスプーン運びが円滑に進まず、食器に直接口をつけて汁物をすするなどして、むせてしまうこともあります。
前頭側頭型認知症
「もっともケアが難しい」認知症 前頭側頭型認知症は、その名のとおり主に前頭葉と側頭葉が障害される認知症です。
4大認知症の中ではもっとも患者数が少ないため、遭遇する機会は少ないかもしれませんが、特徴を知っていないと対応に苦慮する認知症です。
比較的若い年齢(基本的には65歳以下)で発症するため、家族の戸惑いも著しく、認知機能が低下しても体力があり、行動の制御が困難です。
また、疾患の特徴である前頭葉症状があるため、他の疾患で上手くいくケアであっても、その方法論がまったく通用しないことが多くあります。
症状としては、
毎日同じものを食べ続けることがある
着るものや身だしなみに無頓着になりやすい
落ち着きがなくなる
自発的な会話が少なくなる
興奮状態になりやすい
悪気なく、他人のものをとったり食べたりする
同じ時刻に、同じ行動をとることが多い
対策としては、
日常生活をスケジュール通りに組み立てる
何度も繰り返す行動は、危険でなければ遂行させる
ストレスを発散できる活動を選択する
刺激の少ない環境を心がける
身の回りの危険物を除去する
などがあげられています。
以上の代表的な4つの認知症は、対症療法的な治療はあるものの、根本的な解決には至らないことがほとんどです。
ノーマライゼーションとは、「障害の有無や年齢、社会的マイノリティなどに関係なく生活や権利が保障された環境を作っていく」という考え方を示す言葉です。
超高齢社会が進んでいく日本で、この考えは切っても切り離せないようになってくると思います。
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