最近お口の衰えが気になる、食事が丸飲みになってしまうことはありませんか?
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
こんにちは。8月も末になったとはいえ、まだまだ暑い日が続きます。
そんな時は、どうしても冷たいものやさっぱりしたものばかり飲食してしまうとは思いますが、よく噛んで、できるだけ休んで、よく眠り、疲れを次の日に引きずらないようにしましょう。
以下のようなことはありませんでしょうか?
「最近噛めないものが増えてきた」
「飲み込むときにむせることがある」
「しゃべりづらくなった気がする…」
そういった些細なお口の衰えを感じることはありませんか?
オーラルフレイルと言って、口腔機能低下症の可能性があります。
口腔内の筋肉や神経の機能が低下し、食事や会話などの日常生活に支障をきたす状態を指す医療的な用語です。
口腔機能には、咀嚼・嚥下(えんげ)、発音などが含まれます。
この状態は、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。
口腔機能低下症の主な原因には、以下のような要因が挙げられます
- 加齢: 年齢とともに筋肉や神経の機能が低下するため、高齢者によく見られます。
- 神経障害: 脳卒中や神経障害などが口腔機能低下症の原因となることがあります。
- 筋肉の低下: 筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの疾患により、口腔内の筋肉の機能が低下することがあります。
- 口腔疾患: 口腔内の疾患や歯周病、虫歯などが口腔機能低下の要因となることがあります。
- 外傷: 事故やけがによって口腔内が傷ついた場合、口腔機能が低下することがあります。
- 神経筋疾患: ミオトニアジストロフィーや重症筋無力症など、神経と筋肉の関係が影響を受ける疾患が口腔機能低下の原因となることがあります。
口腔機能低下症の症状は、嚥下困難、発音の難しさ、食事や唾液の管理の難しさ、口の開け閉めの制約などが含まれます。
治療や対処法は、その原因や症状に応じて異なります。
口腔リハビリテーション、食事の調整、薬物療法、手術などが検討される場合があります。状態の重症度や原因によって、多職種の専門家が連携して治療を行うことが一般的です。
そのような衰えが重なっていくと、「オーラルフレイル」という、お口周りの筋力の衰えから始まる心身の機能低下につながっていきます。
食事がうまく摂れず、栄養不足に陥ることがあります。
話しづらく人と話すのがおっくうになり、家にこもりがちになる。
動かないので筋力が衰える…。
そういった負の連鎖が起こってしまいます。
オーラルフレイルの主な原因には、①加齢による筋力低下 ②歯の本数の減少 などが挙げられます。歯の数が少ないほど、フレイルや認知症、寝たきりになる確率があがります。
若いうちからしっかり歯のケアをし、歯科検診を受け、なるべくたくさんの歯を残すことはとても大切です。
実は、口腔機能の低下はご高齢の方だけではありません。
お子さんにも出ることがあります。
子供の口腔機能低下は、幼少期や成長段階で口腔内の筋肉や神経の発達が適切に行われず、食事や発音、口の機能全般に影響を及ぼす状態を指します。
この状態は、子供の発達や成長に関わるさまざまな要因によって引き起こされることがあります。
子供の口腔機能低下の主な原因としては以下のような要因が挙げられます
- 健康上の問題: 先天的な筋肉や神経の発達の問題、神経筋疾患、先天性の口蓋裂などが口腔機能低下の原因となることがあります。
- 習慣: 口呼吸や指しゃぶりや親指しゃぶりなどの習慣が、正常な口腔機能の発達を妨げることがあります。
- 環境的要因: 正しい食事や摂取の仕方、口の使い方が適切でない場合、口腔機能が低下する可能性があります。
- 神経筋制御の問題: 口腔内の筋肉と神経の協調がうまく行われない場合、食事や発音の困難が生じることがあります。
子供の口腔機能低下の症状は、食事が嚥下困難であったり、発音が難しかったり、顎の発達に問題があることなどが含まれます。
早期にこの問題に気付き、適切な治療や介入を行うことが重要です。
口腔リハビリテーションや言語療法、歯科的な処置などが行われることがあります。
また、子供の場合は成長段階での適切な指導やMFTや矯正が効果的な場合のこともあります。
口腔筋機能療法とは、口腔内の筋肉や機能に関する治療法のことを指します。
主に、食事や発音、顔の表情など、口腔の正常な機能を改善するために行われる方法です。
口腔筋機能療法は、口腔リハビリテーション、歯科機能療法、言語療法など、さまざまな専門分野で取り組まれることがあります。
口腔筋機能療法は、以下のような状況で使用されることがあります
- 嚥下困難の改善: 嚥下(えんげ)が困難な患者に対して、食事の摂取を助けるための筋肉のトレーニングやテクニックが行われます。
- 発音の改善: 言葉の発音が困難な場合、発音筋のトレーニングやアプローチが用いられ、より明瞭な発音を目指します。
- 顎の機能改善: 顎関節の問題や噛む力の向上を図るために、顎の筋肉を強化するトレーニングが行われることがあります。
- 口腔周囲筋の強化: 口周囲の筋肉の強化は、顔の表情や口の開閉などの機能を改善するのに役立ちます。
- 姿勢の改善: 適切な姿勢を保つことが口腔機能に影響を与える場合、姿勢のトレーニングやアドバイスが行われることがあります。
子供の口腔機能低下に関しては、小児歯科医師、言語聴覚士、口腔リハビリテーション専門家など、さまざまな専門家が関与することがあります。早期の治療や適切なケアによって、口腔機能の改善が期待されます。
また、以下のような体操を行うことでお口周りの筋力低下を防ぎましょう。
お口・舌の動きをスムーズにする体操
パタカラ体操
パパパパパパパパ…カカカカカカカカ…と8回ずつを2セット行います。
パ → 唇をはじくように
タ → 舌の先を上前歯の裏につけるように
カ → 舌の奥を上顎の奥につけるように
ラ → 舌を丸めるように
このように「しっかり発音する」のがポイントです。
【飲み込む力をつける体操】
開口訓練
1回2セット、朝夕行いましょう。
①ゆっくり大きく口を開けて10秒そのままにする。(無理のない範囲で開けましょう)
②しっかり口を閉じて10秒そのままにする
ごっくん体操
①喉ぼとけに手を当ててつばを飲み込み、喉ぼとけが上がることを確認する
②喉に手を当てたまま顎を少し引き、つばを飲んで喉ぼとけを上げ、5秒そのまま保つ。(無理のない秒数で行いましょう)
③息を腹から一気にしっかり吐き出す。
適度な外出や運動をする、家族や友人とのおしゃべりを楽しむ、カラオケで歌う、柔らかいものばかりでなく、歯ごたえのあるものを食べる、など、日々の生活での積み重ねが何よりも大切です。
毎日を楽しみながらオーラルフレイルを防ぎましょう!
のどの違和感が原因の場合
咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)とは、「のどがつかえる」「しめつけられる」「何かできている」など、さまざまな言葉で表わされるのどの違和感、異常感覚のことをいいます。
のどの過敏性や貧血、自律神経失調症などが原因で起こる場合のほか、がんに対する不安、不安神経症、うつ病など心因的なもの(病気)が関係している場合などがあります。
治療は、原因と考えられる問題が存在するときは、そちらを優先させて治療していきます。漢方薬もよく用いられます。
心因的な要因が強いときには、不安を取り除く心理療法、薬物治療をしていくこともあります。
国際医療福祉大の研究グループは今年1月、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020~21年に、高齢者のフレイルが増加したとする調査結果を米国老年医学会雑誌に発表しました。
調査は17~21年、栃木県大田原市で暮らす70歳と75歳のうち、要介護認定者を除く高齢者を対象に実施した。高齢者の健康状態を確認する「基本チェックリスト」を使い、5222人から回答です。
基本チェックリストの質問は、日常生活や運動、外出など7テーマで25問に及ぶ。「日用品の買い物をしているか」、「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がれるか」、「週に1回以上外出しているか」――などの質問に「はい」か「いいえ」で答えるものです。
配点は、質問一つにつき1点で、合計が4~7点でプレフレイル(予備軍)、8点以上でフレイルと判定されます。
研究グループが回答した5222人分の結果を分析したところ、フレイルと判定された人の割合は、19年は12・4%だったが、20年は16・4%になった。21年は17・4%でした。
プレフレイルの人の割合も、17~20年は20%台であまり変化はみられなかったが、21年は31・8%と高まりました。
チェックリストの質問では、「友人の家を訪ねているか」に「いいえ」、「昨年と比べて外出の回数が減っているか」に「はい」と回答した人の割合が大きく変化していました。
どちらの回答も17~19年は10%台だったが、20年は20%台後半、21年は30%台前半でした。
分析をした同大の広瀬環助教(理学療法学科)は、「研究は、コロナ禍で実際にフレイルの高齢者が増えていたことを示す根拠の一つといえる」と指摘する。
そのうえで、「地域活動や趣味の活動に出かけることはフレイル予防になるので、コロナ禍で活動を見合わせていた人は、感染に気をつけながら、再開してもらえれば」と話している。