50代男性「全体的に歯肉が下がって歯が削ずれている」歯周病治療で改善した症例
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
本症例は、歯周病治療と歯が削れてしまった方の症例です。
50代男性「全体的に歯肉が下がって歯が削ずれている」歯周病治療で改善した症例
歯周病の原因は、歯に付着した細菌の塊である『歯垢』であり、歯垢を取り除かなければ、歯周病の進行を食い止めることは出来ません。
そこで、治療では、大元の原因である歯垢や歯石を取り除く『歯周基本治療』に主眼をおきます。
これは、患者さん自身がおこなうホームケアと、歯科医院でおこなう専門的なプロフェッショナルケアがセットになっています。
その治療が好走した、歯周外科を含む歯周治療を行った方の症例です。
患者さんだけでも、歯科医院だけの力でも治療の成功はかないません。
医療は、二人三脚で行うことによって効果が高くなります。
治療を受ける際には、よく考えてから治療を行いましょう。
タイトル | 50代男性「全体的に歯肉が下がって歯がけずれている」歯周病治療で改善した症例 |
年齢・性別 | 50代男性 |
ご相談内容 | 「数年前から歯肉が下がっているの気づいて歯が揺れてきた」と、当院へご相談に来れれました。歯肉の退縮と動揺が主訴で、だんだん歯が削れてきて心配になり来院されました。 |
カウンセリング・診断結果 | 診察したところ、全体にわたって歯肉の炎症による発赤と腫脹が認められ、歯石と着色が著明で、歯肉退縮と歯のすり減りが多く認められました。診断結果は、中等度の広範型慢性歯周炎 ステージⅣ グレードCです。
大きな虫歯はほとんどありませんでした。 |
行ったご提案・治療内容 | できる限り歯を残したいという患者様のご希望に沿って、炎症をある程度改善させた後、再生治療を含めた歯周病の治療に専念しました。 |
術後の経過・現在の様子 | 術後の経過は良好で、現在も定期的なメインテナンスで通院されています。 |
治療期間 | 約6か月 |
治療回数 | 16回 |
総額治療費の目安 | 再生治療 保険適用再生治療の種類によっては保険適応にならないこともあります。 |
治療のリスクについて | 再生治療後、腫れや出血が出ることがありますが、痛みは痛み止めで落ち着く程度、出血は次の日には落ち着く程度です。本症例では出血は軽微で、痛み止めは1日ほど服用しました歯周病治療は十分なメンテナンスを行わないと、再発して進行することがあります。 |
やまのうち歯科医院 院長より | 「歯周病を治したい」とのご希望は、非常に多いご相談の1つです。男女問わず、世界で最も罹患している病気が歯周病です。歯周病が進行することにより隙間が空き見栄えも悪くなります。
歯がすり減り歯肉が下がっていると、歯ブラシするとしみて痛くしっかりと磨くことができないことがあります。そのような状態が続くとさらに増悪してしまいます。 歯周病が進行すると、歯が揺れているため、しっかりと噛むこともできず、やわらかいもが中心となり、栄養不足により、お口の筋力から全身の筋力低下になりかねません。 そうなる前に、一度歯医者に相談してみませんか? 気になる方は一度ご相談ください。 |
初診時のお口の中です。
歯周病により、歯肉の炎症が全顎にわたり認められます。また、着色や歯石が多量に認められます。
治療前のお口の全体像とレントゲン写真です。
歯肉の炎症と一部、歯の際が削れているのが認められます。
レントゲン上で根の長さ1/2程度の水平的骨吸収を認められます。
歯周治療終了後のお口の状態です。
歯周外科治療後に痛みや腫れがあることがまれにあります。
本症例では、数日後痛み止めを服用しなくても大丈夫な状態まで落ち着きました。
歯肉の炎症は改善したものの、一部歯肉の炎症がまだ残っており、今後注意深く見ることが必要になります。
歯肉移植の提案もしたのですが、今回は見送るとのことでした。
へこんでいる部位は様子見にしようかとも考えたのですが、かなりしみるとのことで最終的に詰め物で詰めることになります。
治療終了後72か月後のお口の状態です。
歯周病は安定しています。
保存不能な歯は抜去していますが、その他の部位は保存し、歯肉の腫れもなくなり揺れもほとんどおさまっています。
以上が本症例の治療および治療結果です。
定期的なメインテナンスを受けたいただき、徹底したホームケアによって根状態を維持することができました。
歯周病治療を行うにあたって、大切なことの一つに歯周病検査があります。
歯周病は、とくに初期の段階では自覚症状がほとんど出ないので、歯医者での検査を受けないと正確な診断を行うことはできません。
歯周病の精密な検査は、プローブという器具を使って歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、エックス線写真によって歯を支える骨の状態を調べるレントゲン検査、歯周病の原因となる歯の周囲の汚れ(細菌)の付着状況を調べる検査などからなります。
歯周病の検査内容は、主に下記になります。
歯医者で実施されている歯周病の検査
〇プロービング検査
歯周病の早期から現れる症状の1つに、歯と歯肉との間にある隙間が、歯肉が腫れることにより深くなることがあります。
歯周ポケットは一般には深くなるほど歯周病の程度が進んでいると考えられ、歯肉の入り口から隙間の底の部分までの距離を測定して重症度の判定に用います。
この距離を測定することをプロービング検査と呼び、歯周病の基本的な検査の一つとされています。
測定には目盛りのついたプローブ(針状の金属製の器具)を歯と歯肉の隙間にそっと差し込みます。
数十g程度と非常に軽い圧しか加えませんので、痛みはほとんどありません。
しかし、歯肉が炎症していると弱い力でも痛みが出ることがあります。
プローブで深い歯周ポケットがないか検査をして記録していきます。
痛いのが嫌だといって、この検査をしないと進行していることに気付かず、わかった時には手遅れになることもあります。
血液検査みたいなものです。
採血は注射をするので痛いですよね。
でも、しないと血液の状態はわからないですよね。
血液検査やレントゲンなど検査しないで診断して、糖尿病や骨折、遺伝子疾患を診断して投薬なんてしないですよね。
不必要に痛みを与えないようにしていますが、歯肉に炎症があると痛みが出やすいので普段からお口の清掃を行いましょう。
〇エックス線検査
さらに歯周病が進んでくると、歯を支えている歯槽骨が溶けてきますので、歯肉の下に隠れている歯槽骨の高さを調べることも必要になります。
歯槽骨の状態を調べるのに最も効果的な検査がエックス線検査です。
エックス線検査は、歯槽骨の溶けてなくなった範囲や程度をかなり正確に知ることのできる検査です。
エックス線検査は放射線被曝が気にかかるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については、日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。
エックス線検査で評価される歯槽骨の喪失量は、歯周病によってすでに失われてしまった歯を支える骨の量を示すことになります。
歯周病が進行するほど歯槽骨は吸収されてきます。
小さい写真をたくさん撮影するときは、注意深く治療の状態を確認する必要があるからです。
CT撮影も行うことがありますが、評価基準が定まっていないので、必ず行う検査法ではありませんが治療を成功させるためのツールとしてはいいと思います。
〇プラーク付着率の検査
歯周病の直接の原因は、歯の周囲に付着した汚れ、細菌の塊です。
プラークが多く付着していると歯周病になりやすくなりますし、また歯周病の治療を進めていくうえでプラークのつかないようなお口の環境を整えていくことが必要とされています。
プラークの付着量は、染色液を使って染め出してから軽くうがいをしてもらい、付着している部位がわかるようにします。
そして、肉眼で確認してプラーク付着率を記録します。
プラークの付着率は、治療に対する歯肉の炎症の改善しやすさや治療が終了した後の歯周病の再発などの指標として用いることができます。
その他の歯周病の検査としては、歯肉からの出血の程度を調べる検査(出血指数)、歯の揺れを調べる検査(動揺度検査)、歯肉の下がりを調べる検査(クリニカルアタッチメントレベル)、歯周病原菌についての細菌検査などがあります。
治療や定期検診を行っていても、検査をしていなければ気づかないで進行してしまいます。
できるだけ早く対応するために、検査は嫌かと思いますが我慢してください。
病院でいうところの血液検査のようなものです。
よくなっているのか安定しているのか、悪くなっているのかわからないで治療しましょうとはなりませんよね。
歯科治療も同様です。
治療を行い評価を行い、定期的に歯周病の検査を行うことによって、再度治療が必要になるかを評価しています。
痛みがないからと言って放っておかないようにしてくださいね。
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