コラム
歯周病と全身疾患 全身疾患で歯周病が悪くなる？
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
歯周病と全身疾患との関連性について多くの文献で言われています。
歯周病は、歯茎や周囲の組織に炎症を引き起こす口内疾患です。
歯周病は、口内だけでなく、全身の健康にも影響を与える可能性があります。
以下は、歯周病が関連する可能性のあるいくつかの全身疾患の例です。
糖尿病：歯周病と糖尿病は密接に関連しています。糖尿病患者は、歯周病にかかりやすく、歯周病が糖尿病の管理を困難にすることがあります。
心血管疾患：歯周病は、心血管疾患とも関連しています。歯周病が進行すると、細菌が血流に入り、心臓や血管の炎症を引き起こすことがあります。
妊娠性疾患：妊娠中の女性は、歯周病にかかりやすく、歯周病が妊娠性疾患を引き起こす可能性があります。
呼吸器疾患：歯周病は、呼吸器疾患とも関連しています。口内の細菌が、肺や気道に入り、肺炎や気管支炎を引き起こすことがあります。
これらの疾患は、歯周病の進行とともにリスクが高まる可能性があるといわれています。
歯周病を予防することは、全身の健康を維持するためにも重要です。定期的な歯科検診や、適切な口内ケアを行うことが大切です。
最近の文献で呼吸器疾患との関連性もあるのではないかという研究です。
九州大学で、歯周病の進行が呼吸機能の急速低下に関わることを明らかにしたと発表しました。
慢性閉塞性肺疾患（COPD）は従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、近年世界的に増加傾向で、世界の死因の第4位を占めると言われています。
COPDはたばこの煙を主とする有害物質を長期吸入し、成人期以降に呼吸機能の経年低下速度が急速化することで発症すると考えられています。
今回、研究グループは喫煙以外の要因を検討するため歯周病に着目しています。
福岡県久山町の40歳以上成人1,650名の追跡調査データを分析し、呼吸機能検査による一秒量の急速低下との関連を検討した結果。
喫煙などの影響を加味した上でも、歯周病の進行が最も軽度な集団に比べ、最も重度な集団は3年以内に一秒量の急速低下が起きる割合が1.4倍高く、歯周病が進行している人ほど呼吸機能の経年低下速度が急速化しやすいことがわかりました。
これにより、自宅や歯科医院での口の健康管理が、歯周病予防だけでなく、肺の健康を守るためにも重要である可能性が示されたことがわかりました。
研究グループは以下のような結果を述べてます。
歯周病は、歯磨きなどのセルフケアや歯石除去などの歯科医院でのプロフェッショナルケアを組み合わせることで予防・管理することができる疾患です。
｢肺の健康も守るために、口の健康をしっかりと守っていくことが今後重要になると考えられる」と述べています。
歯周病は、全身の病気との関連がある病気と言われています。
この研究で呼吸器疾患にまで歯周病との関連があることがわかりました。
歯周病は、お口の病気だけでなく体全体の疾患を増悪させる因子の一つだと言われています。
体の健康のために、お口の健康を保っていきましょう。
COPD（慢性閉塞性肺疾患）は、呼吸器系の疾患の一種で、喘息、慢性気管支炎、肺気腫などの病気を包括的に指す用語です。
主な原因は、長期間の喫煙、空気中の有害物質への暴露、遺伝的要因、感染症などがあります。
COPDの主な症状には、息切れ、慢性的な咳、痰、胸部の圧迫感、肺機能の低下などがあります。
これらの症状は徐々に進行し、重度の場合は日常生活に大きな制限を与えることがあります。
治療の目的は、症状の改善、病気の進行を遅らせること、合併症の予防、生活の質を改善することにあります。
喫煙の禁止、酸素療法、呼吸器トレーニング、薬物療法、手術などが治療に用いられます。
また、予防的な措置としては、喫煙を避け、有害な環境を回避することが重要です。
COPDは、重篤な疾患であり、治療が困難な場合もあります。
しかし、早期に診断され、適切な治療を行うことで、症状の改善や病気の進行を遅らせることができます。
定期的な健康診断や、喫煙などのリスク因子を回避することが、COPDの予防にもつながります。
歯周病学会等でも禁煙を治療、支援を推奨しています。
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