歯周病の検査をするときにチクチクする検査をやられたことはありませんか?
なんでこんなことをするのだと思いますよね。
嫌がらせにやれれているのではないかと思う方もいると思います。
それではその圧はどれくらいなのか調べてみましょう。
適切なプロービング圧は何Nが正しい?
プローブによる歯肉へのダメージは非常に小さいといわれています。
プロービングに関して以下のような疑問を持たれることは多いと思います。
プローブのような鋭利なものを歯周ポケットに挿入して害はないか」という質問が挙がることがあります。
それでは、プロービングに限らず、研究で身体に刺激を与えてみて、その反応を確認するために人体を使って実験することは倫理的に難しいのが実情です。
そこで、動物を使った実験によシュミレーションをすることから考えられます。
1972年、TaylorとCamplellによる実験
メスで歯肉溝部の歯肉と歯を切り離したところ、5日間で付着上皮のより 完全な治癒が起こることがわかりました。
→メスのような刃物で切開したとしてもこのような治癒が起こることから プロービングをしても特に大きな問題になるとは思えないという判断に至ります。
このことから、プロービングを過度に危険視せず、正しい認識をもつことが大事だということがわかります。
正しい知識を持ち合わせれば心配ないことがわかりますよね。
ただし、健康な歯肉ということと動物だという点で人にすべて当てはまるわけではありません。
そのため、プロービングを行った後には、もちろん歯肉縁下のデブライトメントが行われます。
進行状況によっては、歯周外科手術も行われることもあります。
歯周組織への刺激という点だけを考えたら、これらの治療が引き起こすのはプロービングの比ではありません。
2004年、Axelssonによる研究
プラークコントロールプログラムに組み入れた患者を30年間追跡調査結果。
その中でも繰り返しプロービングを行っているが、30年間で歯が喪失した原因としてもっとも多かったのは、プロービングが関係するとは考えられない「歯の破折」でした。
このことから、よほどやり方を間違えない限り、プロービングが非可逆的に歯周組織破壊を引き起こす可能性は極めて少ないと考えられます。
また、プロービングの結果は、さまざまな要因によって左右されやすいとされています。
プロービングの結果に影響を及ぼす要因には、
・プローブの挿入方向
・歯石の有無
・修復物のオーバーハング
・プローブ先端の直径 直径が大だとPPD浅く、小さいとPPD深い傾向にある
・プロービング圧 もちろん圧が強ければPPD深くなり、弱ければPPD浅くなる
・プローブ先端の形態がとがっていれば深く入り、丸かったり太ければ浅くなります。
・歯肉の炎症があれば深く入ります。
支持組織が減少しているが、健康な歯周組織におけるプロービング時の出血とプロービング圧の関係についての研究があるので見てみましょう。
研究には当たり前ですが、目的があります。
研究目的
慢性歯周炎で支持組織が減少したが、治癒によって歯周組織が健康となった患者における適切なプロービング圧を検証することです。
研究対象
中等度から重度の歯周炎に対する治療後に、メインテナンスを2~6年通院していた患者10名を対象としています。
年齢層は36~69歳。
被験者はメインテナンス期間を通じて極めて良好な口腔衛生状態を維持し、歯肉の炎症症状もごくわずかの人が対象となっています。
また、期間中に支持組織の喪失がなかったこともPPDやエックス線写真で確認されています。
研究方法
研究をはじめるにあたって、被験者全員に対し、ラバーカップやMIペーストを使った口腔清掃が行われています。
その後、以下の内容を行っています。
研究開始14日後:プラーク指数および歯肉炎指数を記録しています。
研究開始2日後、12日後:各4分の1顎ごとにそれぞれ0,125ニュートン(N)、0,25N、0,375N、0,5Nでプロービングが行われました。
規格加重エレクトリックプローブ(先端の直径は0.4㎜)でプロービングを行った後、BOPの有無を記録しました。
上顎右側、上顎左側、下顎右側、下顎左側の4つに分けた場合の一つを指しています。
N(ニュートン)は、質量を表すグラム(g)とは意味合いが違うため、厳密には換算できませんが、ここでは大体1Nを102gと考えましょう。
結果
プロービング圧が0.125Nの場合、BOPが起こる頻度は2.5%、0.25Nで4,7%、 0.375Nで5.1%、0.5Nで7.9%となりました。
また回帰分析の結果、プロービング圧とBOPの頻度との間に有意な相関が認められました。
上記の研究結果と、同じ研究者によって1991年に発表された研究の結果をあわせての結論は「プロービング圧は0.25Nを超えるべきでない」というものです。
すなわち、0.25Nを超えると歯周組織が健康状態を保っているにもかかわらず、出血が起こる可能性(擬陽性率)が高くなってしまうということ。
しかし
上記の結果をみると、0,25Nと0,375Nの場合ではBOPの頻度にさほど違いがないように思えます。
上記の研究、1991年の研究ともに、歯肉の炎症が存在する場合にどれだけ疾患を見逃す可能性があるか等の分析はなされていないのもわからないところがあります。
したがって「プロービング圧は0.25Nを超えるべきではない」という結論には少々疑問が残ります。
数多くの文献などから総合的に考えると、プローブ先端の直径が0.35~0.4㎜の場合は0.25N~0.5N、0.63㎜の場合は0.5~0.75Nのプロービング圧が最適であると考えられのではないでしょうか。
プローブの先端の直径を見て購入する歯科医院の歯科衛生士がどれくらいいるのでしょうか?
25gの圧では彼と教科書に書いてあるからと言って、
⇒プローブ先端の直径によって、適切なプロービング圧にはばらつきがでてしまいます。
重要なことは治療前と再評価時で同様の圧でプロービングを行うということ。
重要なことは治療前と再評価時で同様の圧でプロービングを行うということ。再現性の高いプロービングを目指すことです。
考察
やまのうち歯科医院では頻繁にプロービングを行っています。
メインテナンスに移行した方では3~6ヶ月に1回程度。
歯肉を傷つけることがないよう細心の注意をはらって行いますが、それでもやはり文献にあったような「プローブのような鋭利なものを歯周ポケットに挿入して害はないか」という疑問は挙がって当然ではないかと思います。
よほど間違えない限りプロービングが組織破壊を引き起こす可能性は極めて少ないとあります。
よほど間違えたやり方”をすれば可能性は0ではないともいえます。
心配な方は、歯周病専門医がいる歯科医医院がいる歯科医院で見てもらってはいかがでしょうか?
私たちは、プロービングを行うにあたり、適切なプロービング圧で細心の注意をはらって実施していかなければならないとあらためて感じさせる文献でした。
あとがき
歯科医のなかには、歯周病検査にプローブを行わないという突飛な先生もいます。
検査で感染させてしまうからだというのです。
その先生での歯周病の検査をしていませんので、もちろん自費治療になります。
位相差顕微鏡やRTPCR法による細菌の状態検査がありますが、これだけでは歯周病の状態がわかるわけではありません。
感染症とは、病原体(=病気を起こす小さな生物)が体に侵入して、症状が出る病気のことをいいます。
それであれば、体内にいなくなれば治癒したことになり意味があります。
いなくならない常在菌を調べて、その増減を調べて意味があるのか疑問になります。
さらに治療に抗生物質で菌を減少させるとの暴挙も行っています。
急性症状の時に行うのはわかります。
慢性症状の時に抗生物質を投薬するのはいかがでしょうか?
MRSAによる菌血症とフルオロキノロン耐性大腸菌による菌血症で年間約8,000名が死亡とのこともありますし、その他の耐性菌によってなくなる方もいらっしゃいます。
なので、抗生物質で歯周病菌等を一時的に除去できても、しばらくすれば元に戻ります。
全身の状態を悪くしてまで、抗生物質を服用するメリットは少ないと思います。
歯周病治療には、適切な検査と治療そして、定期的なメインテナンスが最も重要なことになります。
そのどれがかけても良い結果には結び付きません。
皆さんのお口の健康を保つために頑張りましょう。
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