歯周病治療と全身疾患 肝疾患との関係
宇都宮兵庫塚町の歯周病専門医 山之内文彦です。
今回は、歯周病治療と全身疾患について書いていきます。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は日本人の4人に1人が罹り、最も頻度の高い肝疾患といわれています。
非アルコール性脂肪肝(NAFL)が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進展する要因として、
遺伝的要素や活性酸素種やサイトカインに加え、グラム陰性菌の外膜を構成するリポ多糖であるエンドトキシンが指摘されています。
歯科医師でであれば、サイトカイン、グラム陰性菌、エンドトキシンなどは、必ずと言っていいほどよく聞く名称です。
歯周病の要因となるグラム陰性菌で、歯周病が心血管疾患や糖尿病の要因となる可能性が指摘されています。
しかし、今までは肝臓との関連については不明でした。
歯周病治療により肝機能が改善した例から、歯周病と肝炎の関連に目を付けたようです。
結果、NAFLD群ではP. gingivalisの検出頻度が有意に高く、
P. gingivalisはNAFLDの独立した危険因子であることを分かったようです。
P. gingivalisは、歯周病の原因菌の一つと言われ、NAFLDの方には著明に認められたようですね。
NAFLD患者から検出されたP. gingivalisは、約95%が高病原性株でした。
歯周病を治療することで、軽度のNASHであれば肝機能が改善する可能性があるとのことなので歯周病治療の重要性を訴えてました。
歯周病治療による肝機能マーカーの改善
歯周病治療により便中のF. nucleatumが減少
続いて中島氏は、大腸がんとFusobacterium nucleatumについても研究しています。
消化器がんではHelicobactor. pylori除菌による胃がん発症リスクの低下が示されており、
大腸がんについても歯周病菌の一種であるF. nucleatumとの関連を検討した多くの研究が報告されています。
しかし、口腔内のF. nucleatumと大腸がんとの関連を検討した報告はほとんどないとのことです。
お口の菌と腸内環境について言われているのですが、研究としては少ないのかもしれませんね。
大腸がん患者14例中8例で大腸がん組織および唾液の両方からF. nucleatumが検出され、うち6例(75%)は同一株であることを明らかになっています。
次に同氏らは、口腔内環境の改善が大腸のF. nucleatumに影響を及ぼすと仮定して検討を実施しました。
大腸がんの内視鏡的切除の3カ月前に歯周病治療を開始し、歯周病治療前後の唾液と便を採取するとともに、切除した腫瘍の病理学的評価を行った。
その結果、治療により歯周病が改善した群では便中のF. nucleatumが有意に減少したのに対し、
非改善群や非歯周病群では有意な変化は認められませんでした。
また、改善群では便中の細菌叢に変化が見られたこと、特に早期がんや高度異型腺腫で歯周病改善により便中のF. nucleatumの減少したこと、
唾液中のF. nucleatumはいずれの群も変化がなかったことが示されました。
以上から、同氏は「歯周病治療により大腸がんの進行を抑制できる可能性がある」と考察した上で、
「歯周病治療と全身疾患・生活習慣病との関連については不明な点も多く、今後は歯科の治療介入による高水準な臨床試験のエビデンスが求められるようですね。
医科歯科連携を通じて肝疾患、大腸がんだけでなく、全身疾患や生活習慣病の予防・治療の進展が求められる」とおっしゃっています。
体の健康は、お口の中から始まっています。
健康で長生きするために、お口の健康を保っていきましょうね。
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