【高血圧のお薬で歯ぐきが腫れる?】カルシウム拮抗剤と歯肉増殖症のお話
栃木県宇都宮市の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
「最近、歯ぐきがブヨブヨしてきた」「歯ブラシが届きにくい」「見た目も気になる」など
そう感じている方は、もしかすると“あるお薬”が原因かもしれません。
今回は、高血圧や心臓病のお薬「カルシウム拮抗剤」によって引き起こされる歯肉増殖症(しにくぞうしょくしょう)について、わかりやすくご紹介します。
歯肉増殖症とは?見た目だけでなく機能にも影響
歯肉増殖症とは、歯ぐきが腫れたように盛り上がってくる状態をいいます。軽度のうちは気づきにくいのですが、次第に歯が隠れてしまったり、歯ブラシが当たりにくくなったりします。
歯ぐきが増えると起こること
- 審美性の低下(見た目が悪くなる)
- 歯磨きがしにくくなり、むし歯や歯周病のリスクが上昇
- 発音や咀嚼(そしゃく)への影響
- 歯の位置が変わる(移動してしまうことも)
お薬が原因?カルシウム拮抗剤による歯肉増殖
歯肉増殖症の原因には、薬剤の副作用が含まれます。
その中でも近年増加しているのが、高血圧のお薬「カルシウム拮抗剤(Ca拮抗薬)」によるものです。
例:アムロジピン(ノルバスク®)、ニフェジピン など
どんな人がなりやすい?
- お薬の内服開始から3か月程度で起こることが多い
- 歯ぐきに炎症(腫れ・赤み)がある人ほど起こりやすい
- プラーク(歯垢)の多い人ほど重症化しやすい
実はこの歯肉増殖症、お薬を服用している人すべてがなるわけではありません。
遺伝的な体質や、口腔内の清掃状態などが関係しており、全体の約1〜20%程度とされています。
原因はなぜ?メカニズムを簡単に解説
カルシウム拮抗剤は、血管を拡げて血圧を下げるお薬です。
しかし、その影響で歯ぐきの血流や組織代謝にも作用することがあります。
また、歯ぐきに慢性的な炎症(プラークや歯石などによる)があると、薬の影響を受けやすくなり、線維組織が異常に増えてしまうのです。
特に注意が必要なのは
- お薬を飲み始めた人
- 歯周病がある人
- 清掃が不十分な人(ブラッシング不良)
治療法はあるの?大切なのは「炎症の除去」
安心してください。多くの歯肉増殖症は治療可能です。
中でも近年重視されているのが、**「お薬の変更をせずに治す方法」=保存療法(歯周基本治療)**です。
主な治療方法
- ブラッシング指導
- スケーリング・ルートプレーニング(歯石取り)
- 不良な補綴物(古い被せ物)の修正や除去
- 定期的なメインテナンス
これらによって、薬剤を中止せずとも腫れがひいてくるケースが多く報告されています。
薬を変えれば治るの?
歯科的にはお薬の変更(例:アムロジピン→ACE阻害薬)が効果的な場合もありますが、注意が必要です。
カルシウム拮抗剤は、腎臓病や糖尿病などを持つ患者さんにもよく使われるため、内科的に変更が難しい場合も多いのです。
そのため、まずは歯科的アプローチ(プラークの除去、炎症の改善)を優先し、必要に応じて主治医と連携しながら薬剤の変更を検討します。
重度の場合は手術が必要?
ごく一部のケースで、歯周外科治療(フラップ手術やレーザー治療)が必要になることもあります。
しかし、基本的には保存的な治療から始め、無理のない方法で症状をコントロールしていきます。
歯ぐきの変化に気づいたら、早めの相談を
高血圧治療中の方で、
- 「最近歯ぐきが腫れてきた」
- 「歯が埋もれてきた」
- 「歯磨きがしにくい」
などの症状に心当たりがある場合は、自己判断せず歯科医院でのチェックをおすすめします。
まとめ
歯ぐきを守って、全身の健康も守りましょう
カルシウム拮抗剤による歯肉増殖症は、決してまれな症状ではありません。
しかし、正しく対処すれば改善が見込める病態です。
薬をやめる前に、まずは歯科でできることから始めてみましょう。
当院では、内科医との連携のもと、丁寧なカウンセリングと治療を行っております。
気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
「最近、口臭や歯ぐきの腫れが気になる」と感じたら、歯医者さんにご相談ください。
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