コラム
どんな歯ブラシがいいのでしょうか？
患者さんから聞かれる質問で、よく聞かれるのはどのような歯ブラシがいいのでしょうかと聞かれます。
その答えのヒントが下記の論文に書いてありますので、興味がある方は読んでみてください。
全体的な文献レビューでは、手動歯ブラシのどのデザインも歯垢除去に優れているわけではないという結論が出ています。
最近では、ヘッドから離れて角度をつけたフィラメントを備えた歯ブラシが、従来のデザインよりも効果的であることが、いくつかの使い捨て研究で示されました。
この研究の目的は、この新しい歯ブラシと、より従来的なフィラメント配置を持つ他の 3 つの歯ブラシによる歯垢除去を比較することです。
36 人のボランティアがこの単盲検、ランダム化、クロスオーバー使い捨て歯ブラッシング研究に参加しました。
各期間の 1 日目には、ボランティアは標準的な歯ブラシと歯磨き粉を使用して 60 秒間歯を磨き、その後 48 時間口腔衛生を中断しました。
3 日目に、ボランティアは領域ごとに歯垢を採点され、次に割り当てられたテスト歯ブラシと歯磨き粉を使用して 60 秒間歯を磨き、歯垢領域を再採点しました。
テスト期間の間には 4 日間のウォッシュアウトが許可されました。
プラーク領域は、Rustogi らによる海軍プラーク指数の修正版の 2 値スコアを記録するために使用されましたが、この指数に Claydon と Addy の手順法を採用しているクリニックとは別のものでした。
領域と部位別にスコア化されたプラーク除去は、ブラシ間で有意差はありませんでした。
この研究は、新しい歯ブラシヘッドのデザインがプラーク除去に優れていることを示唆した以前の同様の調査とは矛盾しています。
ここでも、プラーク除去に関して、手動歯ブラシのデザインが他のデザインよりも優れていることを明確に示すデータは存在しないという結論が出ています。
年齢、性別の背景因子による差は認められませんでした。
また、測定日②におけるブラッシング前のプラーク付着量についても、3群間で有意な差は認められなかった。
測定日②における研磨処理毛群、化学処理毛群および先丸毛群のプラーク除去率は62.5±10.4%、42.8±10.2%、65.0±8.8%であり、測定日③においては55.4±10.7%、40.1±11.3%、55.9±12.3%でした。
測定日②、測定日③ともに、研磨処理毛群と化学処理毛群の間および化学処理毛群と先丸毛群の間に有意な差が認められた
（p<0.01）．また、測定日②の3週間後に実施された測定日③では、測定日②と比較していずれの群においてもプラーク除去率が低下し、研磨処理毛群と先丸毛群においては有意な低下が認められたが（p<0.05）、3週間使用後である測定日③であっても、研磨処理毛および先丸毛は化学処理毛と比較してプラーク除去率は高かった。
部位別除去率は、PCRの変法によりRamfjordの代表歯6歯の歯面を分割することで各部位の解析を実施した。歯冠部、歯頸部、歯間部の結果は以下の通りです。
測定日②における研磨処理毛群、化学処理毛群および先丸毛群のプラーク除去率は、歯冠部では75.7±12.5%、49.2±18.4%、75.0±12.4%、歯頸部では 54.2±12.3%、39.1±12.6%、58.3±11.0%、 歯 間 部 で は 59.4±10.9%、39.3±10.1%、62.9±9.4% でした。
測定日③における研磨処理毛群、化学処理毛群および先丸毛群のプラーク除去率は、歯冠部では64.3±15.3%、42.8±12.8%、61.1±18.2%、歯頸部では48.8±13.6%、38.5±13.1%、52.5±13.2%、歯間部では55.8±11.8%、38.2±10.9%、53.9±13.1% でした。
いずれの部位においても研磨処理毛群および先丸毛群が化学処理毛群と比較して有意にプラーク除去率が高くなりました。
また、各部位の比較をすると、歯冠部と比較して、歯頸部、歯間部で3群ともにプラーク除去率が低い傾向を示しました。
すべての群でGUM#211を使用した測定日①において、研磨処理毛群、化学処理毛群、先丸毛群のブラッシング圧の中央値はそれぞれ118.3g、108.7g、117.4 g でした。
各群試験歯ブラシを使用した測定日③では107.5g、135.7g、125.4 g でした。
測定日①、測定日③ともに各群間に有意な差は認められませんでした。
以上が歯ブラシの毛先の形状と歯ブラシの形状による、歯ブラシ清掃効果についての文献です。
毛先の形状歯ブラシの形態による清掃効果は差がないということがわかりますね。
模型につけた赤いインクが取れても、細菌はとれるかわかりません。
ましてや、プラークは不要性グルカンと言って水に溶けない物質が入ってます。
触れただけでとれるはずがありませんし、かみ合わせの溝には歯ブラシは絶対に届きません。
もちろん、歯と歯の間はフロスでしか入らないところがあります。
とある文献では、歯ブラシはフッ素を届かせるための道具として使うものと考えているものもあります。
歯ブラシは、すっきりするための道具ではなく、歯垢を除去して虫歯や歯周病になりにくくするためのものです。
すっきりしたいためだけに使用するなら問題ないと思います。
その歯ブラシだけでプラークが完全に除去できるなら、歯医者に行く必要がなくなりますよね。
長い期間使用していると歯ブラシの効果が低くなるといったデータがあります。
なので、いい歯ブラシを買うより毎月新しい歯ブラシを買った方が効果的かもしれませんね。
私見になりますが、普通の硬さのストレートの歯ブラシを毎月新しく買って、フッ素入れの歯磨き粉を使用し、フロスを毎日使用するのがいいと思います。
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