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2026年11月02日

歯を失う人が多い地域には共通点がある?都道府県別に見る「歯の喪失」と健康の関係

「自分の歯が何本残っているか」を気にしたことはありますか?

年齢を重ねると、歯が少しずつ減っていくのは仕方がないと思われることもあります。しかし、近年の調査を見ると、高齢になっても自分の歯を多く残している人は以前より増えています。

一方で、日本全国を見てみると、歯の残り方には地域差もあります。

日本では高齢になっても自分の歯を多く残す人が増えています。一方、歯の喪失には地域差もあります。8020運動、歯周病、むし歯、咀嚼能力、健康寿命、孤食との関係から、歯を長く残すために大切な口腔ケアについて分かりやすく解説します。

厚生労働省の「歯科疾患実態調査」などで紹介されているデータをもとに、歯の喪失と年齢、地域差、生活習慣、健康寿命との関係について、分かりやすく解説します。

80歳で20本の歯を目指す「8020運動」

日本では1989年から「8020運動」が始まりました。

8020とは、

「80歳になっても20本以上、自分の歯を保とう」

という目標です。

20本程度の歯が残っていると、入れ歯などを使わなくても、さまざまな食品を比較的しっかり噛んで食べることができる目安とされています。

この30年以上の取り組みの中で、日本人の歯の状態は大きく変化しました。

厚生労働省の歯科疾患実態調査では、20本以上の自分の歯を持つ人の割合は、高齢者を中心に大きく増加しています。

例えば、60代後半では、1987年には26.8%だった「20本以上の歯がある人」の割合が、2024年には82.7%となっています。

70代後半でも、1987年の9.4%から2024年には61.6%まで増えています。

つまり、以前と比べて、「年齢を重ねても自分の歯を残している人」が明らかに増えているということです。

これは、歯科医院での定期的なメインテナンスや歯周病治療、毎日の歯みがき、フッ化物配合歯磨剤など、さまざまな取り組みが関係していると考えられます。


歯が残っていることは「噛む力」にも関係します

歯の本数は、単に「何本あるか」だけの問題ではありません。

大切なのは、実際に食べ物をしっかり噛めるかどうかです。

厚生労働省の国民健康・栄養調査では、「何でも噛んで食べられる」と回答した人の割合も調べられています。

2024年の調査では、

  • 40代:約96.7%
  • 50代:約92.3%
  • 60代:約85.1%
  • 70歳以上:約72.1%

となっています。

年齢とともに「何でも噛んで食べられる」と回答する割合は低下しますが、過去と比較すると、高齢者の咀嚼能力は改善傾向がみられています。

歯を残すことは、食事を楽しむことだけではありません。

「自分の口で食べる」ということは、毎日の生活の質にも関わる大切な要素です。


都道府県によって「歯の喪失」に差がある?

日本全体では歯の状態が改善している一方で、地域によって差があることも報告されています。

紹介されたデータでは、40歳以上で「自分の歯が19本以下の人」の割合を都道府県別に比較しています。

割合が高かった地域として、

  • 岩手県
  • 青森県
  • 長崎県
  • 秋田県
  • 北海道

などが挙げられています。

一方、割合が低かった地域として、

  • 香川県
  • 大阪府
  • 東京都
  • 広島県
  • 静岡県

などが挙げられています。
あなたの地域は入っていましたでしょうか?

このデータでは、最も高い地域と低い地域の間に大きな差が見られました。

ただし、ここで注意したいのは、「この地域だから歯を失いやすい」と単純に決めつけることはできないということです。

歯の本数には、年齢、性別、喫煙、食生活、歯科受診、口腔ケア、全身の健康状態、社会的な環境など、さまざまな要因が関係します。

また、都道府県ごとの調査人数にも違いがあります。

そのため、地域別の数字は「その地域の特徴を考えるための一つの資料」として見ることが大切です。


なぜ歯を失ってしまうのでしょうか?

歯を失う原因には、主に歯周病やむし歯があります。

特に歯周病は、初期には痛みなどの自覚症状が少ないまま進行することがあります。

「痛くないから大丈夫」

と思っていても、歯ぐきの腫れや出血、歯を支える骨の吸収が進んでいる場合があります。

また、糖尿病などの全身疾患と歯周病には関連があることも知られています。

そのため、歯だけを見るのではなく、

「お口の状態と全身の健康を一緒に考える」

ことが重要です。


歯科検診やメインテナンスも大切

歯を失わないためには、毎日の歯みがきだけでなく、歯科医院で定期的にお口の状態を確認することも大切です。

歯科医院では、

  • むし歯のチェック
  • 歯周病のチェック
  • 歯石やプラークの確認
  • 歯みがき方法の確認
  • 歯周ポケットの検査
  • 必要に応じたレントゲン検査
  • かみ合わせの確認

などを行います。

自分では見つけにくい変化を早い段階で発見できれば、治療だけでなく、「これ以上悪くしないための予防」につなげることができます。


「歯の本数」と「孤食」にも関係がある?

興味深い研究として、歯や義歯の状態と「孤食」との関連を調べたものもあります。

約15万6000人の高齢者を対象とした調査では、歯の数が少ない、あるいは義歯を使用していないなど、口腔状態が良くない人ほど、ひとりで食事をする「孤食」が多い傾向が報告されています。

ただし、これは、

「歯が少ないから孤食になる」

と一方向の原因関係を証明したものではありません。

食事を一人でとる機会が増えることで食生活や生活習慣が変化し、それが口腔状態に影響する可能性も考えられます。

つまり、歯の健康、食事、社会とのつながり、生活習慣などが互いに関係している可能性があるということです。


歯を残すことは「食べること」を守ること

歯科医院で「歯を残しましょう」とお話しすると、

「見た目のためですか?」

と思われる方もいるかもしれません。

もちろん、見た目も大切です。

しかし、それだけではありません。

自分の歯をできるだけ残すことは、

「自分の口で食べる」

ことを支えることにもつながります。

さらに、歯を失ってから治療するだけではなく、歯を失う原因そのものを早い段階から予防することも重要です。

特に歯周病は、自覚症状が少ないまま進行することがあります。

「最近、歯ぐきから血が出る」

「歯が以前より長くなったように見える」

「口臭が気になる」

「歯がグラグラする」

「以前より食べ物が詰まりやすい」

このような変化がある場合は、一度お口の状態を確認してみることをおすすめします。


まとめ|歯を失ってからではなく、失う前からのケアを

日本では、8020運動などの取り組みにより、高齢になっても自分の歯を多く残している人が増えています。

一方で、歯の喪失には地域差があり、生活習慣や歯科受診、口腔ケア、全身の健康状態など、さまざまな要因が関係していると考えられます。

歯を守るために大切なのは、

「痛くなったら歯医者に行く」だけではありません。

毎日の歯みがきなどのセルフケアに加えて、定期的に歯科医院でお口の状態を確認すること。

そして、歯周病やむし歯をできるだけ早く発見し、必要な治療やメインテナンスを続けること。

これらを積み重ねることで、将来の歯の本数を守ることにつながります。

「80歳になっても20本」という8020の考え方は、単に歯の本数を目標にするだけではなく、将来も自分の口で食事を楽しむための一つの目安です。

今ある歯をできるだけ長く使っていくために、まずはご自身のお口の状態を知ることから始めてみませんか?


よくある質問(FAQ)

Q. 年齢を重ねると歯は自然に抜けてしまうのでしょうか?

A. 加齢そのものですべての歯が自然に抜けるわけではありません。歯周病やむし歯など、歯を失う原因を予防・治療することで、年齢を重ねても多くの歯を残せる可能性があります。

Q. 歯が20本あれば安心ですか?

A. 20本という数字は8020運動の目安です。実際には、歯の本数だけでなく、歯周病の状態、むし歯、かみ合わせ、義歯の使用状況、噛む機能などを総合的に見ることが大切です。

Q. 歯周病は歯を失う原因になりますか?

A. はい。歯周病が進行すると、歯を支えている骨などの組織が破壊され、歯が動いたり、最終的に抜歯が必要になったりすることがあります。

Q. 歯を長く残すには何をすればよいですか?

A. 毎日の丁寧な歯みがきに加え、歯間清掃、食生活への配慮、喫煙などの生活習慣の見直し、そして歯科医院での定期的な検査・メインテナンスが大切です。

Q. 歯が痛くなくても歯医者に行ったほうがいいですか?

A. 痛みがなくても、歯周病や初期のむし歯などが見つかることがあります。「症状がないから大丈夫」と考えず、定期的にお口の状態を確認することが予防につながります。


  • 日本では、80歳前後になっても自分の歯を20本以上残している人が以前より増えています。
  • 歯の喪失には、歯周病やむし歯などが関係します。
  • 歯の喪失率には都道府県による地域差が報告されています。
  • 歯の本数だけでなく、「何でも噛んで食べられる」という咀嚼機能も重要です。
  • 歯や義歯の状態と孤食との関連を示した研究もあります。
  • 歯を長く残すには、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的な検査・メインテナンスが重要です。

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