歯周病になったお口ってどんなにおい?
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
今回は口臭について書いていきたいと思います。
口臭についてお話しするには、まず、口臭症と口臭病について書かなければいけません。
1. 口臭病(病的口臭)
口臭病とは、病気が原因で発生する持続的な口臭を指します。主に以下のような口腔や全身の病気が原因となります。
口臭病の原因:
- 歯周病:歯茎の炎症や細菌による感染が原因で、強い口臭が発生します。
- 虫歯:深い虫歯が進行すると、腐敗物が溜まり、悪臭を放ちます。
- 口内の乾燥(ドライマウス):唾液の分泌が減少すると、口内の自浄作用が低下し、細菌が増殖しやすくなります。
- 全身疾患:糖尿病や胃腸の疾患、肝臓や腎臓の問題などが口臭の原因となることがあります。
口臭病の特徴:
- 原因がはっきりしており、治療すれば改善することが多い。
- 歯科医や医師による診断と治療が必要になることがほとんどです。
2. 口臭症(自臭症)
口臭症は、実際には強い口臭がないにもかかわらず、本人が口臭を感じている、または口臭に過度に悩んでいる状態を指します。
これは心理的な要因が大きく関与していることが多いです。
口臭症のタイプ:
- 自臭症:自分には強い口臭があると思い込んでいるが、実際には他人に感じられるほどの口臭はない。
- 口臭恐怖症:過剰な不安や恐怖感が原因で、常に口臭があるのではないかと心配し、精神的ストレスを感じる状態。
口臭症の特徴:
- 精神的な要因が大きいため、歯科的な問題がないにもかかわらず口臭が気になることがあります。
- 心理療法やカウンセリングが有効な場合もあります。
違いのまとめ:
- 口臭病は、病気が原因で実際に強い口臭が発生し、治療が必要です。
- 口臭症は、実際には口臭がないか軽度にもかかわらず、本人が強く悩んでいる状態です。
歯周病が原因の口臭は、主に歯や歯茎の間に蓄積された細菌や、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の隙間での炎症によって発生します。これらの細菌が分解する過程で、硫黄化合物(揮発性硫黄化合物)が生成され、強い臭いを引き起こします。
歯周病による口臭の特徴:
- 持続的な口臭:歯を磨いたり口をすすいでも短時間しか改善しないことが多いです。
- 口の中の違和感:歯茎が腫れたり、歯茎から血が出ることがあるため、口の中が不快な感じになることもあります。
- 舌苔(ぜったい):舌に白っぽい苔がつくことがあり、これも口臭の一因となります。
歯周病による口臭の対策:
- 徹底した口腔ケア:歯磨きやデンタルフロス、舌ブラシを使用し、口腔内を清潔に保つことが大切です。
- 歯科での専門的なクリーニング:歯周ポケット内に溜まった歯石やプラークを除去するために、歯科医院での定期的なクリーニングが効果的です。
- 抗菌性のマウスウォッシュ:歯周病に対する抗菌効果があるマウスウォッシュを使うと、細菌の増殖を抑えられることがあります。
それでは、歯周病の人のにおいにはどのようなものがあるのでしょうか?
下記に代表的なものを挙げてみました。
腐った玉ねぎのようなにおい
歯周病の口臭の中で代表的なのが、「メチルメルカプタン」という揮発性硫黄化合物が原因の臭いです。
メチルメルカプタンとは、タマネギが腐ったような臭いで知られる気体で、実は口臭のほかに、おならにも含まれています。
メチルメルカプタンは毒性が強いことから、口臭の原因となるだけでなく、歯周病を悪化させる要因の一つと考えられています。
卵の腐ったような臭い
メチルメルカプタンほど臭いは強くありませんが、歯周病の口臭の原因として次に多いのが、「硫化水素」という揮発性硫黄化合物です。
卵が腐敗する際に硫化水素が発生することから、一般的に硫化水素といえば「卵の腐ったようなにおい」と称されています。
硫化水素は歯垢のほかに、舌苔という舌の汚れでも発生しやすいため、生理的口臭の原因としても大きな割合を占めています。
生ごみのような臭い
生ゴミやキャベツが腐ったような臭いが特徴の「ジメルサルファイド」という揮発性硫黄化合物も、歯周病の口臭の原因としてあげられます。
ジメルサルファイドは「磯の香り」のもとになっている成分で、海苔のにおいにも含まれています。
ジメルサルファイドによる口臭は、消化器や肝臓の疾患でも起こりやすいことから、虫歯や歯周病などの症状がみられない場合は、全身疾患の可能性も考えられます。
以上のような口臭があるのを感じたら、歯周病の可能性がありますので歯医者に行ってください。
もし歯周病が進行している場合は、早期に歯科医に相談して適切な治療を受けることが重要です。
症状がなくなったからと言って治ったわけではありません。
緩解しただけの場合が多くあります。
治ったと勘違いしないで歯医者に行ってくださいね。