たばこを吸っている人は歯周病になりやすいの?
宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
喫煙による弊害と喫煙者と非喫煙者の歯周病治療の効果について書いていきます。
タバコを吸うことは、口腔に様々な悪影響を与えます。
以下に、タバコを吸うことによる口腔の弊害をいくつか挙げます。
- 歯周病 タバコに含まれるニコチンやタールが、歯肉を炎症させ、歯周病の原因となります。タバコを吸うと、唾液の分泌量が減少し、口の中の菌が増えるため、歯周病にかかるリスクが高くなります。
- 口臭 タバコに含まれるニコチンやタールが、口の中の臭いを強くし、口臭を引き起こします。
- 義歯の色素沈着 タバコを吸うことにより、歯や義歯に色素が付着しやすくなります。特に、歯や義歯に黄ばみができることがあります。
- 口内炎 タバコを吸うことで、口の中の粘膜が荒れてしまうため、口内炎ができることがあります。
- 口腔癌 タバコを吸うことは、口腔癌のリスクを高めることが知られています。タバコに含まれる有害物質が、口の中の細胞を損傷し、発がんリスクを増加させることがあります。
以上が、タバコを吸うことによる口腔の弊害です。タバコを吸うことは、口腔だけでなく全身の健康にも悪影響を与えるため、できるだけ禁煙を心がけることが大切です。
歯周病の診断基準は新しくなりました。
以前は侵襲性歯周炎という診断名がありました。
これは、歯周炎を除き全身的に健康で急速な歯周組織破壊が認められる歯周病です。
現在は、グレードやステージという名称に置き換わっています。
その侵襲性歯周炎の特徴として、家族内発症を認めることを特徴とする歯周炎といわれいます。
一般的にプラーク付着量は少なく、10~30歳代で発症することが多く認められています。
生体防御機構、免疫応答の異常が認められることがあるともいわれています。
歯周病の患者さんに対してSRP等の歯周病治療を行い喫煙がどのような影響をもたらすかを調査した論文です。
SRPとは、歯と歯肉の間の歯石や細菌などの物質等を除去する歯周病治療の一つです。
歯周ポケットが5mm以上あり、過去3か月以内に全身性疾患または、抗菌薬の既往がない人を対象に行っています。
喫煙者の一日の喫煙本数は5~30本です。
SRP後の歯周ポケットや細菌は、非喫煙者の歯周病や侵襲性歯周炎の患者さんで改善を示しましたが、喫煙者では改善傾向は少なかったようです。
喫煙は、歯周炎のリスクファクターであり、喫煙による患者さんの免疫応答の低下や血流量の低下による細菌数の増加などが挙げられています。
他の研究では、慢性歯周炎患者と侵襲性歯周炎患者における細菌では大きな差はないとの論文があります。
喫煙者と非喫煙者における歯周治療前後の細菌の変化に関する研究は多くありません。
慢性の歯周炎と侵襲性歯周炎は、歯周病治療後に歯周病改善を認められました。
侵襲性歯周炎患者では、喫煙者は非喫煙者より歯周ポケットの回復は悪かったことが分かりました。
喫煙することが歯周病の増悪させる因子ということは以前からわかっていました。
喫煙することは、歯周病を悪くさせるだけでなく、治療をしても改善し難いことも証明されました。
歯周病が心配な方は、禁煙することをお勧めします。
それでは、タバコを吸われているからと言って治療法について変化があるかというと、特にありません。
歯周病になりやすいとリスクを背負っているのみとなります。
歯周病は、歯と歯肉の境目にある歯周ポケット内に細菌が増殖し、歯肉を炎症させ、歯槽骨を破壊する病気です。
歯周病の治療には、以下のような方法があります。
- 歯石除去 歯周ポケット内に蓄積した歯石を除去することで、歯周病の原因菌の増殖を抑制します。
- LDDS、患部のイリゲーション 歯周ポケット内に抗菌剤を塗布することで、菌を減少させ炎症を抑制します。
しかし、この方法は、あまり効果がありません。
外科が適応できない方に適していると思います。
口腔内をきれいにしたのち、抗生物質を短期間に定期的に歯肉の中に入れる方法です。
Local Drug Delivery System、局所薬物配送システムともいいます。
歯科においては
テトラサイクリン系抗生物質をポケット内に局所塗布します。→ 日本では塩酸ミノサイクリンが用いられています。
適応として、急性炎症時、局限性に残った深いポケットに行いますが、緩解しても一時しのぎにしかなりません。
全身投与より副作用が少なく、薬効の長期継続が期待できるといわれています。
- 歯周外科手術 重度の歯周病の場合、歯肉を切開して、歯周ポケットを広げ、歯周病原菌を取り除きます。
また、歯肉移植を行うことで、歯周病によって失われた組織の一部を再生することができます。 - 歯周組織再生療法 歯周病によって破壊された歯周組織を再生するために、自己由来の幹細胞を用いた再生療法が行われることがあります。
- 経過観察とメインテナンス 歯周病治療後は、定期的な経過観察とメインテナンスが必要です。定期的な歯科検診と歯石除去、歯周ポケット内のクリーニング、歯肉の状態の評価などを行うことで、歯周病の再発を防止することができます。
歯周病は進行すると歯を失う原因になるため、早期治療が重要です。
定期的な歯科検診を受け、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
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