骨粗しょう症治療薬と歯科治療
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
お薬と歯科治療について書いていきたいと思います。
歯科医師はARONJ発生と関連しない骨粗鬆症治療薬の休薬を求めることがしばしば見られています。
したがって、BPとデノスマブ以外の骨粗鬆症治療薬はARONJとは関連しないことの再認識が必要です。
医師と歯科医師との連携がとれてない場合が多く、ARONJの発生増加の一因となっていることもあります。今まで以上に医科と歯科の緊密な連携で予防、治療するチーム医療体制を構築することが望まれます。
医科歯科連携の欠如によって患者が適切な治療を受けられず、不利益をこうむることを防止しなければなりません。
歯科医師もARONJ発生リスクと骨折予防のベネフィット、ARONJの発生頻度、骨吸収抑制薬の作用機序および適応症を正確に理解し、過敏に顎骨壊死発生を恐れることなく、患者に対して適切な歯科治療を進めることが望まれます。
歯科医師はARONJ発生と関連しない骨粗鬆症治療薬の休薬を求めることがしばしば見られています。
したがって、BPとデノスマブ以外の骨粗鬆症治療薬はARONJとは関連しないことの再認識が必要です。
医師と歯科医師との連携がとれてない場合が多く、ARONJの発生増加の一因となっていることもあります。
今まで以上に医科と歯科の緊密な連携で予防、治療するチーム医療体制を構築することが望まれます。
医科歯科連携の欠如によって患者が適切な治療を受けられず、不利益をこうむることを防止しなければなりません。
歯科医師もARONJ発生リスクと骨折予防のベネフィット、ARONJの発生頻度、骨吸収抑制薬の作用機序および適応症を正確に理解し、過敏に顎骨壊死発生を恐れることなく、患者に対して適切な歯科治療を進めることが望まれます。
ポジションペーパーによると、原則として医科主治医の判断によりますが、BPの休薬は不要とされています。
ただし、BPの休薬を考慮する場合やデノスマブに関しても治療時期に関してなどの記載もあり、医科主治医との連携が重要となります。
医師の方の考え方も様様なので、休薬することが患者さんにとってメリットがあるかどうかになると思います。
休薬中に、骨折してしまったら困りますし、と言って休薬しないで抜歯後に顎骨壊死をしたら困るということになります。
悩ましいところになります。
できれば、投薬する前に予後不良な歯を抜歯し、口腔内を清潔にした後服薬することが最もいいかもしれません。
骨粗鬆症は、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気で、日本では推定約1.000万人以上いると言われています。
そして、その約90%が女性です。
骨粗鬆症の中でも閉経後骨粗鬆症は、閉経による卵巣機能の低下により、骨代謝にかかわるホルモンのエストロゲン分泌の低下により発症します。
閉経後骨粗鬆症の患者さんにおいて、歯周病が進行しやすい原因として最も重要と考えられているのがエストロゲンの欠乏です。
エストロゲンの分泌が少なくなると、全身の骨がもろくなるとともに、歯を支える歯槽骨ももろくなります。
また、歯周ポケット内では、炎症を引き起こす物質が作られ、歯周炎の進行が加速されると考えられています。
多くの研究で、骨粗鬆症と歯の喪失とは関連性があると報告されています。
したがって、閉経後の女性は、たとえ歯周炎がなくても、エストロゲンの減少により、歯周病にかかりやすく、広がりやすい状態にあると言えます。
また、骨粗鬆症の薬としてよく用いられるビスフォスフォネート製剤(BP系薬剤)というのがあり、これを服用している方が抜歯などをした場合、周囲の骨が壊死するなどのトラブルが報告されています。
歯周病でぐらぐらしているから自分で抜く、などということは絶対に行わないようにしてください。
骨粗しょう症のリスクがある方に、ビスフォスフォネート製剤を使用するのは医科の観点からいうと、65歳以上の頚部転子部骨折450例の検討を行っています。
1年未満の死亡率10.7%でした。
予後関連因子は年齢、術前認知症、退院後世帯状況(同居,別居)、術後歩行能力、術後合併症の有無でした。
65歳以上の頚部骨折201例の検討し多変量解析の結果、132例が死亡で生存曲線は最初の1年で80%まで低下し、その後は緩やかな低下でした。
生命予後に対する重要因子は年齢、術後歩行能力でした。
受傷後5年以上経過した60歳以上の大腿骨近位部骨折患者534例(男性92例,女性342例,平均年齢82.1歳,頚部骨折188例,転子部骨折246例)を調査した結果,受傷後1年の生存率は91.9%,5年以上生存したものは45.6%です。
受傷後1年では実際の生存率と期待生存率には差がないが,3年目以降は有意に低下していたことから、高齢者で骨粗しょう症になる可能性がある方に投薬を行ってしまう傾向にあるのかもしれません。
骨粗鬆症が注目され始めた 1990 年代より、歯科領域でも歯を支える顎骨の粗鬆化に関心が集まっています。
特に、骨粗鬆症は歯周病の増悪や歯の喪失のリスク因子であることが明らかとなり、歯科でも重要な疾患となっております。
歯科では骨粗鬆症のスクリーニング方法として日常臨床で使用するX線画像を用いた評価法が検討されてきました。
国内外で研究が進み、日本歯科放射線学会においても、パノラマX線画像による骨粗鬆症患者および骨折リスク患者のスクリーニングに関する報告を日本歯科医学会に提出し、また本年、パノラマX線画像による骨粗鬆症スクリーニングの臨床
ガイドラインを発行しております。
歯科では、歯科疾患(う蝕や歯周病等)の診断に多用される顎骨の総覧像のパノラマX線画像(2017 年に年間約 1500 万枚撮影)を用い、全身の骨粗鬆症を評価あるいはスクリーニングする方法が考え出されてまいりました。
日本では田口ら 1、2)が閉経後骨粗鬆症患者において、パノラマX線画像による検討を行いましたが、下顎下縁皮質骨形態が粗鬆化を示した被験者の 80~90%が骨粗鬆症であっ
た事から、下顎下縁皮質骨が腰椎や大腿骨の骨密度を反映することが判りました。この指標は骨代謝マーカー3)や骨折リスク4)と関連することも判っています。
世界ではパノラマX線画像の下顎下縁皮質骨に基づく骨粗鬆症患者のスクリーニングに関して、現在までに関連論文が 200 以上出版されています。
英国 UCL Eastman Dental Institute の Calciolari らによるシステマティック・レビューおよびメタ解析(~2014 年)6)では,パノラマX線画像による下顎下縁皮質骨の評価が骨粗鬆症患者のスクリーニングに有用であることが示されています。
日本では、歯科放射線学の教科書にパノラマX線画像の下顎下縁皮質骨の読影法が既に詳しく解説されており、全国の歯学部・歯科大学で学生に教授されています。
また、本内容に関しましては、貴学会の日本骨粗鬆症学会雑誌にも概要が報告されています8)。
日本歯科医学会では 2017 年度研究開発事業として「健康寿命延伸のための OP(パノラマX線画像)の有効活用について特に骨粗鬆症予防および早期発見と医療連携-」を委託致しました。
これを受けました日本歯科放射線学会では 2018 年に、パノラマX線画像上の下顎下縁皮質骨粗鬆化所見は骨粗鬆症患者スクリーニングに有用であり、また骨折リスク患者のスクリーニングにも有用である可能性が高いとする報告を日本歯科医学会に提出しております。
フレイルという観点でも、転倒したことがある方はより投与を考えてしまうのかもしれません。
歯科の観点から言うと、すぐに投薬するのは骨壊死のリスクがあるので避けたいと思いますし、医科の観点から言うと高齢者の骨折を防ぐことが寿命を延ばす可能性があると考えるのかもしれません。
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