歯生え薬2 内容追加
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
先日、歯生え薬を行っているかの電話が当院にもありましたのでおそらくこのことではないかと思います。
まだ、研究中の内容なのでどの歯医者でも行っていません。
また、歯髄を復活させる治療法もあります。
これは行っている歯医者がありますが、まだ少ないといわざるを得ません。
理由の一つとして、費用が高いというところです。
すべて自費治療となります。
一歯につき、トータル100万~150万くらいといわれています。
下記の内容を読んでもらえればわかりますが、特段高いわけではありません。
これくらいの価値がある治療と思います。
なので、虫歯になったら痛くなったら治療しようと思わないでください。
本当に完治させようとすれば、とても高額になることになります。
話はそれてしまいましたが、歯生え薬について書いていきます。
歯はそもそも「増える」特性を持っていた?
研究では、実は1990年代に、歯は1つの遺伝子の変異で数が増えたり、減ったりすることがわかっていました。
そのことを勉強しようと、歯科医師として働きながら、京都大学の大学院に進み分子生物学を、その後アメリカに留学して発生生物学を学んだそうです。
京都大学では、再生治療についての研究が盛んにおこなわれている期間の一つです。
歯を新たに生やすというのは歯科医師としての夢のひとつでしょう。
その夢に向かって研究を続けている最中です。
歯は生える数が決まっていて、全部で32本(親知らずを含む)あります。
しかし、もともと数が足りない先天性無歯症という患者さんがいて、その割合は全体のおよそ1%くらいといわれています。
また、逆に歯が32本より多くあるのを過剰歯といって、やはり1%くらいいます。
歯の数は決まっているはずなのに、増えたり、減ったりといった揺らぎ(余地)があるんです。
先天性無歯症:生まれつき一部の歯が生えない症状 また、歯は分類でいうと心臓や肺、膵臓とかと同じく、「臓器」なんです。
噛むという機能だけでなく、体調に影響を及ぼします。
例えば、肺は2つありますが、先天的に1つしかない人は1%もいません。
逆に、3つある人も1%もいないんです。
つまり、歯は増えたり、減ったりする可能性が高い臓器といえるのです。
加えて、歯は成長の過程で、乳歯から永久歯に生え変わります。
つまりリニューアルできるシステムを持っているわけです。
先ほど言いましたが、1つの遺伝子の変異で歯が1つ増えるということがわかっていたので、少なくとも歯が生えることに関しては、可能性があるんじゃないかと思ったんです。
歯生え薬は、どのようにして歯を生やすのでしょうか?
私たちの歯は永久歯が抜けると生えてきません。
これは、USAG-1というたんぱく質が歯の成長を抑制しているからなんです。
歯は芽さえあれば生えてきます。だから、このたんぱく質の機能をなくせば歯が生えてくるということになります。
そこでこのたんぱく質をターゲットにして、歯を増やすということを思いついたのです。
がんの治療で、がん遺伝子によって発生するタンパク質を標的にして増殖しにくくする、分子標的治療というのがありますが、歯を生やすのも同じようにターゲットを絞ります。
マウスを使っての実験では、100%の成功率!
これまでの実験ではどんな結果が出ているのでしょうか?
マウスを使って実験をしました。中和抗体を打ったら歯が生えてきたとのことです。
実際のレントゲンや口腔内写真もあります。
しかも条件さえ整えば、100%生えるという結果を得られました。
マウスは、乳歯がない動物なので、先天性無歯症の子を妊娠している母親に抗体を打ちます。
すると歯が生えてきたので、腰を抜かすほどビックリしましたそうです。
また歯がない犬にも投与したら歯が生えてきたとのことです。
しかしながら、犬の場合、残念ながらマウスとは違って100%成功にはなりませんでした。
今のところ、動物実験では副作用は出ていません。
ゆくゆくは、注射で直接人間に薬を打って、歯が生えてくるようになると思います。
この薬が合う人、合わない人がいるかどうかもいずれわかってくるでしょう。
まだ、注射をしたら都合のいいところに都合よく、いい塩梅の歯が生えてくるわけではなさそうです。
歯がなくなっても明るい未来が待っている
ちなみにお値段はどのくらいになるのでしょうか?
費用は今のところインプラント3本分を想定していますが、全然決まっていないようです。
おそらく100万以上すると思いますし、思った部位に生えてこない場合は歯牙移植になると思います。
歯の形態を改善させるなら被せ物をしますし、場合によっては矯正治療も必要になるかもしれません。
歯髄を再生させる治療でも100万以上かかるといわれていますので、それ以上かかる可能性はありそうですね。
また、上記の治療はすべて自費治療になります。
さらに、使用する抗体製剤はけっこう高価なので、当然費用も高くなってくるでしょう。
抗体製剤は、抗体と呼ばれる免疫システムの一部であるタンパク質を含む医薬品のことを指します。
これらの抗体は、特定の病原体や異物に対して免疫応答を引き起こすために作られます。
抗体製剤は、さまざまな疾患の治療や予防に使用されることがあります。
どんな患者に有効なのでしょうか?
無歯症の専門外来をやっているのですが、お子さん(先天性無歯症の患者)を連れたお母さんたちはいつも悲しんでいます。
子どもに歯がないことに対して、申し訳ないことをしたと自分を責める方がいらっしゃいます。
歯が少ないことは子どもの成長、発達に影響が出ます。
食事を摂る効率も悪くなります。
また歯が少ないということで、すきっ歯になったり、見た目が悪くなります。
子どもにとってはデリケートな問題なので、治験が始まって、どんどん薬を活用できるようになると、親子の悩みを解決する突破口になり得るかもしれません。
また、大人の生活は大きく変わるでしょうか?
大人には28本の歯(親知らずをのぞく)があり、歯がその半数以下になると、ごはんのようなやわらかい食べ物も噛めなくなります。
そうなることで口腔機能が衰えてしまい、結果、認知症になりやすく、転倒が増えることが研究からわかってきています。
このような疾患を防ぐために、入れ歯や新しい自歯で失った歯を補うことが大切です。
抜けても新しい自歯の登場で、歯科治療の幅が格段に広がりますし、生涯自分の歯でモノを食べることができるようになります。
それはとても爽快なことなはずです。 歯が改善されれば、自然と健康寿命も延びます。
まずは2030年を目処に、先天性無歯症の患者さんに薬を届けたいとのことです。
2030年に人に対しての治験が始まるようですね。
下記のリンク先のブログでも書いてますが、決まったところに生えるわけではないようです。
過剰歯と言って、余分に歯が生えるような感じになっている感じなのでしょうか?
人にはまだ行ってはないようです。
思ったところに生えないので、最終的には歯牙移植の外科処置が必要なのかもしれません。
親知らずがないか、もしくは使用できない方で先天的に歯が欠損していて乳歯が残っている方に行えそうですね。
価格もインプラントよりかなり高額となっているようです。
欧米では、インプラントがあるのでインプラント治療に代わるものではないでしょう。
外科的な治療ができない方で、欠損部分に生えてくれれば適応症になるのでしょうか?
これからも注視が必要な研究の一つになりますね。
同じ研究の内容ですが、以前書いた内容になります。気になる方は下記をクリックしてください。
歯生え薬について