コラム
2024年06月03日

歯周病と緑内障 全身疾患とのかかわり

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

歯周病と緑内障について、全身疾患とのかかわりについて書いていきたいと思います。

緑内障は、目と脳の間の重要なつながりである目の視神経にゆっくりとダメージを与えます。 緑内障患者は通常、目の問題に気づく前に視力を失います。
最も一般的なタイプの緑内障は原発開放隅角緑内障と呼ばれます。

これは、目の中の液体が適切に排出されない場合です。 目の中の圧力が上昇し、視神経に損傷を与えます。
このタイプの緑内障は通常、最初に側方 (周辺) の視野を奪うため、視力の変化にすぐには気づかないでしょう。
しかし、時間が経つと中心視野が失われ、物が見えにくくなります。 残念ながら、緑内障で失った視力を取り戻すことはできません。

緑内障の発症を阻止する方法はまだありません。
しかし、緑内障による重度の視力低下や失明を防ぐ方法はあります。
定期的な眼科検査は視力を守るのに大きな役割があります。

1. 視力を失う前に、この静かな視覚障害を防いでいきましょう。
緑内障のリスクがある場合は、定期的に眼科医の診察を受けて検査を受ける必要があります。
彼らは病気を初期段階で発見し、観察して治療することができます。 緑内障の薬を医師の指示どおりに服用することも同様に重要です。
2. ステロイド薬を服用していますか? 眼科医に相談しましょう。

ステロイドを長期間または高用量で服用すると、特に緑内障がある場合、眼圧が上昇する可能性があります。
経口投与、目の周りに使用したりするステロイドは、眼圧を上昇させる可能性が最も高くなります。
何らかのステロイドを服用している場合は、必ず眼科医に伝えてください。
3. よく食べる。
毎日、緑黄色野菜や色のついた果物、果実、野菜をたくさん食べてください。
体と目を保護するビタミンやミネラルが含まれています。
実際、緑内障の予防にはビタミンよりも目の健康に良い食品の方が優れている可能性があります。

4. 運動をする、 しかし慎重に。 心拍数が上昇するような激しい運動も眼圧を上昇させる可能性があります。
しかし、早歩きや適度なペースでの定期的な運動は、眼圧を下げ、全体的な健康状態を改善する可能性があります。
重い重量を持ち上げる場合は、資格のあるトレーナーに、このエクササイズ中に適切に呼吸する方法を教えてもらいましょう。
5. 目を怪我から守ります。 目の怪我は緑内障を引き起こす可能性があります。

スポーツ中、または家や庭で作業するときは、常に保護メガネを着用してください。
6. 頭を下げる姿勢は避けてください。
緑内障がある場合、または緑内障のリスクが高い場合は、頭を心臓よりも下に長時間置かないでください。

頭を下げる姿勢は眼圧を大幅に上昇させる可能性があります。
重度の緑内障のある人の中には、特定のヨガの姿勢を避ける必要がある場合があります。
運動習慣の中で頭を下げる姿勢を避ける必要があるかどうかを医師に相談してください。
7.正しい姿勢で寝る。

緑内障がある場合は、目を枕や腕の上に置いて寝るのは避けてください。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)のある人は、緑内障のリスクがあるか、より重篤な疾患を患っている可能性があります。
夜中にひどいいびきをかいたり、呼吸が止まったりする場合は、OSA の検査を受けてください。

8. 目を日光から保護してください。 太陽の紫外線が一種の緑内障を引き起こす可能性があるという証拠がいくつかあります。
屋外を探索するときは、高品質の偏光サングラスと帽子を着用してください。
9. 口を清潔に保ちます。 いくつかの証拠は、歯周病が緑内障における視神経損傷に関連している可能性を示唆しています。
毎日歯を磨き、デンタルフロスをし、定期的に歯科医の診察を受けてください。

10. 血圧の薬について眼科医に伝えてください。
睡眠中に血圧が下がりすぎると、緑内障の損傷が悪化する可能性があります。
夜間に血圧の薬を服用している場合、または低血圧の症状(ふらつきなど)がある場合は、眼科医に伝えてください。

このことについては、主治医と相談してください。
血圧の薬を自分で変更しないようにしましょう。

4万人以上を対象として、残っている自然の歯の数や歯の喪失、歯周病や根管治療などの口腔内の状態と緑内障の関係を調査したものです。

その結果、歯の残数と緑内障の関係は認められませんでしたが、過去2年以内に歯周病と診断されて歯を失っている場合には統計学上、緑内障のリスクが有意に高くなるという結果が出ました。

これは、歯周病を引き起こす口腔内の細菌叢による感染によって免疫反応として視神経を攻撃するとういうメカニズムや、歯周病によって身体の炎症反応が起き、それが眼内の水の循環に関係する細胞に悪影響を及ぼして眼圧に影響するのではないかといったことなどが考察されています。

はっきりとしたことは分かっていないことは多いものの、歯は万病の元、といったこともあながち間違いではないのかもしれません。

歯周病は、歯周病細菌によって発症する感染病で、歯周組織に起こる慢性炎症性疾患です。
歯周ポケットの中で、炎症性サイトカインや内毒素(LPS) を大量に発生します。
口腔内の嫌気性菌がおもな原因菌で、現在では、生活習慣病の1 つとされています。
生活習慣病としては、糖尿病、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、肥満、がんとの関連、さらには、誤嚥性肺炎、心内膜炎、妊娠合併症(胎児の低体重・早産)、バージャー病、骨粗しょう症、非アルコール性脂肪肝疾患、認知症などとの関連も注目されています。
また「歯の喪失と歯周病は、緑内障やアルツハイマー病(AD)と関連がある」という報告もあります。

歯周病は、酪酸をつくり、これが血流に乗って脳に入り神経細胞を障害する可能性があります。
AD の脳にはジンジパイン(gingipain)というタンパク分解酵素がみられ、これは歯周病菌が生み出しています。
口腔内細菌がディスバイオシス(dysbiosis ; 腸内細菌叢の異常) をもたらすことが緑内障に影響する
という論文も出ています。

自分の歯で食事をすることは、人生の楽しみであり、健康維持の原点です。
生涯にわたり健全な咀しゃく能力を維持し、オーラルフレイルを予防することは、健やかで楽しい生活を過ごすために不可欠なことです。
80歳時に自分の歯を20歯以上保つ努力をする8020(ハチマル・ニマル) 運動が提唱・推進されています。
歯周病は我が国に広く蔓延している国民病であり、成人の約80%が歯周病に罹患しているようです。
「風邪は万病の元」といわれますが、現代の万病の元は、歯周病、糖尿病、肥満、メタボリック症候群、動脈硬化あたりが相当するのではないでしょうか。
これらの疾患との関連メカニズムについてはこれまで、プラーク中の歯周病原性細菌が炎症により損傷した歯周ポケット上皮から組織内に侵入し、全身循環を介しまた、歯周炎組織で産生された様々な炎症性サイトカインが全身循環を経由して血管、脂肪組織、肝臓などに持続的かつ軽微な炎症、すなわち慢性炎症を起こすと考えられてきました。
しかしながら、歯周病が全身疾患の発症・進行に関与するメカニズムについては、いずれの説も決定的ではなく、依然として不明な点が多いです。

ポルフィロモナス・ジンジバリスを口腔から投与するモデルを用いて、肥満モデルや糖尿病モデルマウスで見られるのと同様、腸内細菌叢の変動により、血中内毒素レベル上昇の報告があります。
腸内細菌叢の変化は、動脈硬化症、糖尿病、関節リウマチ、非アルコール性脂肪肝疾患、肥満など、歯周病と関連する疾患のリスクファクターであることが知られます。
歯周病菌、歯周病、腸内細菌叢、血中内毒素の因果関係は、合理的な生物学的分子基盤を提供します。
歯周病の病態形成は、原因となるプラーク中の歯周病原性細菌およびそれらが産生する代謝産物と宿主の免疫・炎症反応のバランスによりコントロールされています。

歯周病は、歯肉の炎症(歯肉炎) から始まり、進行するにつれて骨の吸収が起こり、最終的には歯を失うこともあります。
歯周病は歯周組織破壊の有無によって、歯肉炎と歯周炎に分かれます。歯肉炎は、歯周組織破壊のない歯肉に限局した炎症をさします。
原因を除去すれば完全治癒します。一方で、歯肉炎が進行すると歯周炎へ移行します。
歯周炎は、歯肉上皮付着の破壊・歯槽骨吸収など歯周組織破壊をともなう慢性炎症性疾患です。
中等症以下の歯周炎は歯肉炎同様、原因除去で治癒可能ですが、重度の治癒は困難です。

口腔内には、700 種類以上の常在菌が棲息していて、このうち歯周病に関与する細菌は10 ~ 30種類程度です。プラーク1mg 中に細菌は、108 ~109 個も存在します。
重度歯周病患者唾液1ml 中には、ポルフィロモナス・ジンジバリス非常に多く含まれるといわれます。
ヒトは1 日に1~1.5Lもの唾液を産生し飲み込んでいますが、P-gingivalisが口腔細菌叢に占める比率は0、8%程度です。
重度歯周病患者ではP-gingivalis のみでかなりの状の細菌を毎日飲み込んでいることになります。

ディスバイオシス(dysbiosis)状態の病的口腔細菌を毎日大量に飲み込むことで腸内細菌叢もdysbiosis 状態となり、有害物質が増加する状況が継続し、歯周病が関連する全体疾患と腸内細菌叢のdysbiosis が関連する疾患には共通性があります。
口腔からP-gingivalis を投与するマウスの実験において、全身的炎症(CRT やIL-6 の上昇)、脂質代謝異常、血管炎症反応、耐糖能異常、インスリン抵抗性などが誘導されることが報告されています。
脂肪組織の炎症は、インスリン抵抗性を誘導。
また、TNF-α、IL-1β、IL-6 などの炎症性サイトカインも有意に上昇していました。
肝臓においても脂肪組織と同様、TNF-α、IL-6 遺伝子発現上昇、さらに、脂肪滴蓄積、中性脂肪の増加が認められました。
さらに腸内細菌叢の変化により、腸管バリア機能として重要なタイト結合タンパク質遺伝子発現低下とともに、様々な炎症性サイトカイン遺伝子発現情報とも関連していました。

以上これらをまとめると、いったん飲み込まれた口腔細菌が腸管から再び全身循環に入る可能性が考えられます。
腸内細菌叢変動により、同時にタイトジャンクションタンパク質発現低下、血中内毒素上昇が生じます。腸内細菌叢変動は、生活習慣病、そのほか関連疾患のリスクファクターであることは明らかなようです。

心配な方は、歯科だけでなく眼科も定期的な検診に行きましょう。
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