歯が浮くってどういうこと?
栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
今回は、歯が浮く感じがする原因について書いていきたいと思います。
日本には色々な擬音がありますが、食に関するものも当然ながら様々なものがあります。
例えば「ぱりぱり」「がつがつ」「もぐもく」「つるつる」これらの擬音だけで、その食べ物がどんな食感なのか想像することができます。
では、その食感は、口の中のどこが感じているのか考えたことはあるでしょうか?
食感のうちの口当たりやのどごしのような部分は、実は舌やお口の中の粘膜が感じ取っているといわれています。
それは今での経験で何となくわかると思います。
その中の、歯ごたえはどこで感じているのでしょうか?
これも、舌や粘膜が感じているのでしょうか?
それとも、歯が感じているのでしょうか?
答えは、歯根膜と呼ばれるところが感じているといわれています。
歯ごたえは、歯が感じているのではなく、歯の周囲の組織の歯周組織が感じているのです。
歯根膜とは、歯の根元と歯を支える歯槽骨と呼ばれる硬組織のすき間にある薄い繊維の束のことです。
歯根膜は、歯の根と歯槽骨をしっかり結びつける役割や歯槽骨に刺激がそのまま伝わらないようにするクッションの役割も担っています。
話がそれてしまいますが、インプラントには歯根膜がないため直接刺激や負担がかかるため、アバットメントやスクリューや被せ物に負担がかかる様にできてます。
そのため、マウスピースを使用したり負担がかかならいように工夫をしているのです。
話を戻します、歯周病が進行したり、歯が抜けおちててしまうと、この歯根膜が一緒に失われてしまい、食事をしてもその「食感」を感じることが難しくなります。
歯根膜を失ってしまうと入れ歯を使用しても十分な食感を得られないので、食の楽しみは半減するといわれています。
もちろんそれだけではありませんが、温かいものや冷たいものも感じるセンサーが少なくなりますので、その面でも問題は出てきてしまうとも言われています。
そのような理由もあり、自身の歯を保つことは非常に大切なことなのですよね。
歯根膜は歯ぎしりなどの強い力が継続的に加わることで破壊されることもあり、そのような時に「歯根膜炎」が起き、痛みを感じることもあります。
疲労骨折のようなもので、徐々にダメージが蓄積され症状が出た時には回復するには時間がかかるもしくは、完治ができなるなることもあります。
歯根膜炎は、歯の根の周りにある歯根膜と呼ばれる組織が炎症を起こす病気です。
歯根膜は歯を支える組織であり、歯の根の周囲に位置しています。
よく見られる、歯根膜炎の主な原因は、歯の根の先端方向に細菌が侵入し、感染症が起こることです。
神経が弱って根の先まで菌が行くとその周囲に炎症が起きることがあります。
この感染症は、虫歯や歯周病が進行した場合に起こることが多く、痛みや腫れ、歯の動揺などの症状が現れます。
そのほかに、歯周病が原因のこともあります。
歯を支える歯周組織が減少し、歯根膜が減少することによって負担がかかる部位が大きくなることになり症状が出てきます。
歯根膜炎の治療には、まず原因となる菌や歯周病を治療することが必要です。
また、炎症を抑えるために抗生物質の投与や、根管治療、かみ合わせの調整、外科的処置などが行われる場合があります。
治療を行わない場合、慢性化し、歯を失うことにつながることがありますので、早期に治療を受けることが大切となります。
一時的に改善していても、再度悪化するかの世がありますのでお気を付けください。
ほかにも、
目の下や鼻の横に広がっている空間の上顎洞に炎症が起こった場合、その影響で歯根膜に炎症を及ぼしてしまうことがあります。
上顎洞炎が原因の場合は、鼻をかんだ時に歯が痛むといった自覚症状があります。
鼻の炎症とセットで症状が出てきますから、歯だけの痛みで治まらない場合は上顎洞炎の治療も行わなければなりません。
耳鼻咽喉科で見てもらう必要があるかもしれません。
耳鼻咽喉科の先生からも、歯科から来ているかもしれないといわれることがありますので、ご注意を。
歯根膜炎の場合、そもそもなぜ歯根膜が炎症を起こしたかが問題です。
と言うのも、炎症の原因によっては治療内容が全く異なってくるからです。
また、噛むと痛いというだけで歯根膜が原因と断定はできないですし、あくまで可能性が高いだけです。
このため、どちらにしても歯科医院で診察を受ける必要がありますし、実際に歯根膜炎だったとしても、その原因を突き止め、それに見合った治療を受けてください。
また、何が原因だとしても、自然治癒することはほとんどないため、症状がなくなったからと言って放置するのは気を付けた方がいいです。
歯が浮いた感じがするということがありますが、本当にわずかながら浮いていることがあります。
まとめると、歯根膜炎(歯周病)の主要な原因は、口腔内に存在する細菌による感染と、それに対する免疫系の反応です。
- プラークや歯石の蓄積等によって引き起こされる歯周病:口腔内には細菌が存在し、これらの細菌が歯の表面に付着してプラークと呼ばれる薄い膜を形成します。プラークが不適切なケアやクリーニング不足によって蓄積されると、細菌は増殖し、歯根周囲に感染が広がる可能性があります。プラークが硬くなり歯石に変化すると、これを除去するために歯科医師のプロフェッショナルなクリーニングが必要になることがあります。
放置することによって歯周病を惹起させ、歯を支える歯槽骨がなくなり同時に歯根膜も消失されるため、相対的に負荷が増加します。 - 炎症反応によるもので、虫歯の進行様よるもの: プラーク中の細菌が神経を通って歯根周囲の組織に侵入すると、免疫系が反応し、炎症が引き起こされます。これにより、歯茎が赤く腫れたり、出血したりすることがあります。この炎症反応が長期間にわたり続けると、歯根膜炎が進行する可能性が高まります。
- リスク因子等によるもの: 歯根膜炎のリスク因子には、遺伝的要因、喫煙、不適切な食事習慣、ストレス、全身の健康状態(糖尿病など)、口腔内の形態的要因(歯並び、歯の隙間など)、不適切な歯磨き習慣などが含まれます。これらの要因が組み合わさると、歯根膜炎のリスクが高まります。
その中には、歯ぎしり食いしばりタッピング(歯を上下にカチカチ鳴らす)などによっても引き起こされることがあります。
歯根膜炎は早期に診断および治療されるものがほとんどです。
適切な口腔衛生習慣の指導、歯磨きとフロスの適切な使用、定期的な歯科検診、および必要に応じた治療(歯石のクリーニング、歯周ポケットの除去、抗生物質の処方、手術など)や対策を提供することで、歯根膜炎の進行を防ぐのに役立ちます。
お口の中で違和感があると思っていたら、歯根膜炎だったということがありますので、何か症状を感じたらなるべく早く受診してください。
歯科医院では、歯が浮くと言っても、相手の軽はずみな態度を見たり、軽薄な言葉を聞いたりして、不快になることではありません。
歯根膜が炎症したり、歯周病により炎症したり、根の病気などで実際に歯が浮いてしまうことがあるからです。
一時的に改善しても、よくなっているわけではないので気を付けましょう。
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