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唾液があふれ出る―流涎症 ~病気や義歯、加齢が影響

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。
お口の中が乾燥する病気があることを知っている方はいらっしゃいますが、逆に多すぎる場合もあります。

口の中にたまった唾液が飲み込む量を超えて口からあふれ出る症状が病的に続く状態を流涎(りゅうぜん)症といいます。

飲み込む練習で、嚥下機能が改善する飲み込む練習で、嚥下機能が改善する

唾液量が多いと思っても実は分泌量は正常の場合もあります。

唾液が多いと感じる流涎症には、実際に分泌量が増加している場合と、増えていないのに何らかの理由で増えたと感じてしまう場合があります。
唾液分泌量が増加している場合、原因としては妊娠時のつわり、胃もたれ、胃炎、胃潰瘍、口内炎などが挙げられます。
つわりとは、現在でも原因ははっきりとわかっていませんが、妊娠初期に急激に増加する絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン(hCG)が関与しているという説や、精神心理状態と関連するという説などがあります。症状としては吐き気、嘔吐(おうと)が多く、食欲不振、胸やけ、食べ物の好みが変わる、においに敏感になる、ゲップ、乗り物酔い、だるい、眠いなどがあり、妊娠5~7週に始まり14~16週までにはおさまることが多く、8~10週くらいがピークといわれています。
心理的な因子が非常に強く、舅姑(きゅうこ)と同居している人、海外在住の人や経済的な不安、夫との不和がある場合はつわりが強いといわれています。
外食や職場では食べられるのに、家では食べられず吐くということもあります。
対処法としては、家の中でじっとしているより、外へ出て散歩や買い物、友人に会うなど気分転換をすることがよいようです。
コロナかが長く続いた結果、外に出ることが少なくなり、以上のようなことになることもあるそうです。
乗り物酔いもしやすくなっていますので、込んでいる電車やバスなどは避け、通勤の必要がある人は時差出勤をみとめてもらいましょう。
食事については、まだ胎児は小さいので、母体に蓄えられている栄養で十分成長できますから無理に食べる必要はありません。
好きなものを好きなときに食べればよいのです。
あっさりしたもの、冷たいもの、すっぱいものは食べやすいといわれています。
食事がとれなくても水分が摂取できていれば心配はありません。時期がくれば必ずおさまりますので、食事を工夫してのりきりましょう。
しかし、何度も嘔吐して水分も受けつけない場合は、脱水状態となるので入院して点滴で水分、ミネラル、ビタミンなどを補給する必要があります。
入院は通常数日間ですみやかに回復することができます。
時期がきてもなかなかおさまらないつわりや、ほかの症状(腹痛、熱など)も伴う場合は、医師に相談してください。
つわりだと思っていたら、実は内科疾患(胃潰瘍、肝臓病など)であったというようなこともあるのです。

また、流涎症は、原因が特定できないケースが最も多く、自律神経の影響が関連しているのではないかとも考えられています。
義歯を使っている人では、義歯の状態が悪いなど口の中に問題があることもあるとも言われています。

一方、唾液分泌量に異常はないものの、唾液が口にたまってあふれる場合は、飲み込み(嚥下=えんげ)機能の低下が考えられます。
嚥下機能の低下は加齢によっても起こりますが、筋萎縮性側索硬化症や多発性硬化症、パーキンソン病といった難病のほか、多発性脳梗塞、扁桃(へんとう)炎、扁桃周囲膿瘍(のうよう)などの病気、顎の骨折や関節脱臼などが原因となっていることもあります。
無意識によだれがあふれ出る場合は、病気が原因の可能性があるといいます。

飲み込む練習が有効

唾液分泌量が増加しているケースでは、原因の病気が分かっていればその治療を優先しましょう。
自律神経が影響している場合には、自律神経に作用する薬を服用し、分泌量を改善しましょう。
日頃のケアとしては、口の中を清潔に保つことが重要となります。

一方、唾液分泌量は正常で飲み込むタイミングがつかめなくなっている場合は、まず嚥下機能の低下を引き起こす病気がないかを確認しましょう。
その上で、病気があれば治療を開始しましょう。
受診する診療科は、神経内科や耳鼻咽喉科、歯科などが挙げられるといいます。

嚥下機能の影響で唾液が多く感じられる場合は、吐き出したりうがいをしたりするのではなく、姿勢を良くして顎を引き、唇を閉じた状態で飲み込むようにしましょう。
嚥下機能が改善し、自然に唾液を飲み込むことができるようになります。

そのほかに口腔機能低下症というものがあります。
最近の小児や高齢者に見られるといわれているもので、その症状の改善いいいとされているものがあります。

かむ、飲み込む、話すなどに使う口周りの筋肉(口腔=こうくう=筋)をバランス良く動かせるよう、マッサージと体操を組み合わせたもので、口腔機能の改善を目指しましょう。

口腔のマッサージと体操から成る歯ヨガ。体操には四つのステップが口腔のマッサージと体操から成る歯ヨガ

口腔マッサージと体操

口腔筋機能が低下すると、歯並びや滑舌(かつぜつ)が悪くなる、顎関節症や歯ぎしり、さらに頭痛や肩凝り、誤嚥性肺炎など全身の健康に影響が及ぶこともあります。
口腔筋機能が衰え、かみにくくなる、むせが多くなるという状態をオーラルフレイルと呼ぶ。食事がしづらくなるため栄養状態が悪化し、全身の筋力が衰え、全身の機能も低下します。

低下した口腔筋機能を改善させオーラルフレイルを防ぐことが、健康寿命の延伸につながる可能性があります。

歯ヨガは口腔のマッサージと体操から成る。マッサージは、かむ時に使う咬(こう)筋という筋肉の凝りをほぐし、唾液腺を刺激するなど数パターンがあります。
体操のステップは四つあります。以下の通りです。
〔1〕鼻呼吸で息を吸いながら頬をすぼめ、吐きながら膨らませる動作を10回
〔2〕口を閉じて舌を唇と歯の間に入れ、左右5~20回ずつゆっくり回します
〔3〕口を横に大きく広げながら「りー」、次に舌が歯に付かないように前に突き出して「えー」の発声を10回
〔4〕舌を上顎にぴったり吸い付けて離し音を鳴らすポッピングを10回と、吸い付けキープを100秒

口腔筋機能が改善すると、唾液が増え鼻呼吸になります。
すると免疫力が向上し、全身の健康にもつながるといわれています。

お子さんにも有効です
食事や姿勢など生活習慣の影響で、口腔筋機能が低下している子どもが増えています。
治療した子ども(5~11歳)の約9割は、安静時に舌が下顎にある低位舌といわれています。
健康につながる鼻呼吸ではなく、口呼吸の子どもが目立った。そこで、毎日の歯ヨガトレーニングを勧めたところ、舌が上顎に付き、鼻呼吸ができるようになり、気道が広がったことがレントゲン写真で確認できたものもいます。
鼻炎やぜんそくが出にくくなった子どももいたといるそうです。

「口腔筋機能の低下は、虫歯や歯周病、歯並びの悪化、歯ぎしり、さらには全身の健康にも影響します。
免疫力アップのためにも、高齢者に限らず、どの年代の方も、ぜひ歯ヨガに取り組んでみてください。

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