歯周病は治りますか? 

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

今回は、歯周病について書いていきたいと思います。

質問される中の一つに、歯周病は治りますかとよく聞かれます。
歯周病という言葉は聞いたことはあるけど実際どのような疾患かよくわからないと思います。
答から言いますと、歯周病の中の歯肉炎は治りますが、歯周炎は治りません。
歯周病には「歯肉炎」と「歯周炎」の二つがあります。
歯周病の中で、歯ぐきの炎症だけにとどまったものを「歯肉炎」と言い、骨まで溶けてしまったものを「歯周炎」と言います
最初は歯肉炎が起こりますが、それを放置していると歯周炎になってしまいます。
歯周病は、歯と歯肉の間にある歯周組織や歯根周囲組織に慢性的な炎症が起こる疾患です。
そこから考えるとわかりますね。
歯周病には、治る歯周病と治らない歯周病があるということですね。
歯肉炎であれば、歯肉にのみ限局するので治る可能性がありますが、歯周炎になる治らないということになります。
では、歯医者の治療で行うのは、歯周病を治すのではなく安定させること目的にしています。


と言っても歯肉炎には様々な種類があるので、薬物性歯肉炎の中で投薬を中止できない薬もあります。
その時は、治療をしても再度歯肉炎、もしくは歯肉増殖になってしまうことがあります。

歯周病は、歯肉炎から進行して、歯垢や歯石などの歯周組織に付着した菌が繁殖し、歯周組織を破壊して歯周ポケットと呼ばれる隙間が形成されるます。

歯周病は、軽度のものから重度のものまであり、症状はさまざまです。
歯肉炎から始まり、徐々に進行していきます。
初期の歯周病では、歯肉が赤く腫れて出血しやすくなります。
進行すると、歯肉が炎症を起こし、歯周ポケットが深くなり、歯茎が後退して歯根が露出することがあります。
重度の場合には、歯根周囲組織が破壊され、歯がぐらついたり、歯を支える骨が失われて歯が抜けたりすることがあります。
歯周病は、歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすことが知られています。
例えば、心疾患、糖尿病、妊娠合併症などと関連することが報告されています。
したがって、早期発見と適切な治療が重要です。

歯周病の主な原因菌は、歯周ポケット内に棲息する歯周病原細菌と呼ばれる細菌です。
以下は代表的な歯周病原細菌の一部です。

  1. ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)
  2. フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)
  3. トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)
  4. アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)
  5. プレボテーラ・インターメディア(Prevotella intermedia)
  6. タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)

これらの歯周病原細菌は、歯周病の進行に重要な役割を果たすとされています。
歯垢や歯石などの歯表面に付着して繁殖し、歯肉を刺激して炎症を引き起こし、歯周ポケット内で増殖しバイオフィルムというコロニーを形成することで歯周組織を破壊します。
また、これらの細菌が口腔から血液中に侵入することで、全身的な疾患のリスクを増加させることも報告されています。

バイオフィルムとは、微生物の集団が形成する生体内の膜で、細菌、真菌、藻類などが含まれます。
これらの微生物は、表面に接着し、自分たちの環境を制御するために、多様な生物学的、化学的、物理学的相互作用を利用しています。
この集団をバイオフィルムコロニーと呼びます。
バイオフィルムは、多くの場合、固体表面(例えば、歯や人工材料表面など)や水面など、湿度が高く、落ち着いた環境で形成されます。
バイオフィルム内の細胞は、生活環境に応じてさまざまな形態をとることができます。
通常、バイオフィルムは、細胞外マトリックスによって保護され、細胞内環境を維持するために、栄養素や代謝産物を共有します。
バイオフィルムは、医療現場で問題となることがあります。例えば、バイオフィルムが形成された人工器具や機器、または外科手術部位から感染が起こる可能性があります。
また、口腔内のバイオフィルムは、歯周病や虫歯の原因となることがあります。
このため、バイオフィルムを除去することは、感染症や炎症の予防や治療に不可欠であるとされています。
歯周病は、細菌が原因ではないといいながら、歯ブラシや歯間ブラシフロス等を徹底させること行います。

歯周病の中で侵襲性歯周炎というものがあります。

急速に進行する歯周病ですが、以前は若年性歯周炎とも呼ばれていました。
その方の口腔内や全身状態を鑑みると歯周病についてがわかってくると思います。
歯科医師の知識不足が、保険治療通りに行って改善しない場合、患者さんのせいにしてしまうことになります。
もちろん、歯科治療は二人三脚で行っていきますので、一緒に歩んでいかないとうまくいきません。
歯周疾患を鑑別し分類しようとする時に、部位、病変の範囲と程度などの臨床的所見、病歴、発病時期,罹患期間、病因、病変の動態、とくに細菌学的特徴を含めた進行速度と経路、病理学的特徴、年齢、性、全身的状態、免疫応答をふくめた宿主の応答、咬合あるいはプラークコントロールに関係のある口腔の形態学的特徴などの項日に留意しなければなりません。
侵襲性歯周炎の臨床的な特徴としては、高度進行性といわれる破壊型の歯周炎と比べて、局所における病因との直接的な相関性は少ないといわれています。
すなわち病巣の全菌数が少ないことなどが挙げられます。
しかし、本質的には若年者に多い歯肉炎と、初期の歯周炎、あるいは成人性歯周炎とこれら若年者の歯周炎との間に細菌学的な差異は認められず、どの時点で歯肉炎から歯周炎に移行するのか説明するのは難しいといわれています。
そのため、子供の時から定期的に検診を受けるというのは理にかなっていることになります。
悪くなってから治療すると期間もかかりますし、完治することも困難になります。
早期に治療と予防をしましょうということになります。

その他の歯周病には、壊死性潰瘍性歯周炎(歯肉炎)があります。

壊死性潰瘍性歯周炎(かいしせいかいようせいししゅうえん)は、歯周病の一種であり、歯肉の表面に潰瘍を形成する歯周病です。
通常、歯周炎は歯肉の炎症や歯周組織の破壊を引き起こしますが、壊死性潰瘍性歯周炎では、歯周組織の壊死や潰瘍が進行します。
この疾患は比較的まれであり、一般的には成人で発症します。
壊死性潰瘍性歯周炎の主な特徴は、発熱、歯肉の潰瘍、壊死、および出血です。
患者さんは、しばしば歯肉の痛みや腫れ、口臭、口内の不快感などを発症します。
また、歯の動揺や歯茎からの膿の排出もみられることがあります。
潰瘍性歯肉炎では、若年者でも発症することがあり、他の疾患と判別しにくいところがあります。
壊死性潰瘍性歯周炎の原因は明確ではありませんが、免疫系の異常反応や感染症、喫煙、ストレスなどの要素が関与している可能性があります。
後天性免疫不全症候群のかたにも、見られることがあります。
後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome, AIDSエイズ)は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)感染によって生じ、適切な治療が施されないと重篤な全身性免疫不全により日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす状態のことを言います。
壊死性潰瘍性歯周炎は、早期の診断と治療が重要です。
定期的な歯科検診と適切な口腔衛生の維持は、歯周病を予防するために重要です。
違和感があるときに重篤化する前に行きましょう。

虫歯の治療をする前に歯周病の治療をする理由について書いてあります。気になる方は下記をクリックしてください。
被せ物をする前に歯周病治療をする理由

 

 

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