歯ブラシの種類とフロスについて

栃木県宇都宮市兵庫塚町の歯医者 やまのうち歯科医院の山之内です。

歯ブラシとフロスの使用順序について研究した論文について書いていきたいと思います。

  1. 歯面の分割: 歯を特定のエリアに分割し、各エリアのプラークの量を評価します。通常、歯面は顎の前部、後部、左右に分けられます。
  2. プラークの観察: 歯の表面をビジュアルに観察し、歯垢の存在や程度を評価します。歯の表面に付着しているプラークが観察されると、そのエリアはプラーク陽性とされます。
  3. スケール: 歯の表面のプラークの量を定量的に評価する場合、スケールやスコアリングが使用されます。スコアリングは通常、0から3の範囲で行われ、0はプラークが存在しないことを示し、3は多量のプラークが存在することを示します。

デンタルプラークインデックスの使用は、歯周病やむし歯の予防、口腔衛生指導の効果評価、疾患の進行をモニタリングするために一般的です。
また、歯科医師や歯科衛生士が患者の口腔衛生状態を定期的に評価する際にも使用され、治療計画の立案や予防策の提案に役立ちます。
口腔衛生を維持し、プラークの蓄積を管理することは、歯の健康を保つために非常に重要です。

歯間部だけでなく全顎的にも、フロスをしてから歯ブラシを使用する方が、有意にプラークが減少するという結果が出ました。
しかし、歯頚部のプラークについては、2グループ間で有意な差はなかったようです。
「有意差」とは、統計学や科学研究の文脈で使われる重要な概念の一つです。
有意差は、2つ以上のグループや条件間の差異が偶然ではなく統計的に有意であることを示す指標です。
つまり、ある現象や実験結果が偶然のものではなく、実際に何らかの意味のある差異が存在することを示すものです。
また、フッ化物濃度については、歯間部において、フロス→歯ブラシの順番の方が有意に高かったようです
    

この研究に対する考察について

研究に参加している25人が歯学部生ということから、実験対象者は10〜20代が多いと考えられます。
そのため当然ですが、歯間空隙といって歯と歯の間の間隔が狭い方が多く、フロスでも十分に歯間部プラークが除去できます。
しかし、歯周病が心配となる50〜60代と年齢を重ねていくとなると、歯間空隙も広くなってきます。
その場合は、同じ結果になるとは限らないかもしれません。
そのような状態にならないようにするため、歯周病や虫歯に子供のころから予防治療を行って

また、こういった研究結果が出ているからといって、歯ブラシから先に使用している患者さんがいても、否定する必要はないと思います。
その患者さんのプラークコントロールが確立されていて、口腔疾患にかかっていなければ、なにも問題はないでしょう。

ほかの研究として、形状が異なる4種類の歯ブラシによってプラーク除去率が変化するかどうかを調査した研究があります。

どんな方法でおこなわれている?

36人の被験者に通常の歯ブラシを用いて60秒間ブラッシングを行わせ、その後48時間ブラッシングを中止させています。
その状態でプラークスコアを記録し、さらに被験者を4グループにわけました。
その後、それぞれの種類の歯ブラシを各グループに割りあて、60秒間ブラッシングを行わせ、ブラッシング後に再度プラークスコアを記録しました。

その結果、ブラッシングを行う前後のプラークスコアに、4種類の歯ブラシ間で有意差はないことがわかりました。
また、頬側よりも舌側の方にプラークが残りやすいことも明らかになりました。

この研究に対する考察

この研究では、どんな種類の歯ブラシを使用しても、プラーク除去率に変化はないといった結果がでました。
たしかに、私たち歯科衛生士がブラッシングを行う際、よほど変わった形でなければ、どんな歯ブラシでも大抵は問題なくブラッシングができるかと思います。

弘法筆を選ばずといったことわざにもあるように、技術の高い人がブラッシングを行えば、歯ブラシの形状にこだわらなくても、ある程度のプラークが除去できるのではないでしょうか。
そのため、どの歯ブラシがいいでしょうかといわれると、なんでもいいですと答えているのはこの理由です。
ある程度の方さや柄の形や長さの度はありますが、ほとんどの場合規格をそれていることはほとんどありません。
歯ブラシが上手にできる方は、ストレートで普通かやわらかめの硬さであれば、問題ないということがわかります。
専門家であればあるほど、その理由が明確なのでなんでもいいです答えてしまうのです。
医業という点から考えるとよくないですけど。
ただし、手が不自由な方やゆっくり歯ブラシができない方の場合は、その患者さんに合ったものをお勧めすることがあります。
場合によっては電動歯ブラシをお勧めすることもあります。
例えば、関節リウマチで手が不自由だったり、脳梗塞の後遺症で片麻痺になってしまったりする場合にお勧めすることもあります。

ドラッグストアや量販店に行くと、何十種類もの歯ブラシがならんでいます。

歯科医院で患者さんに使用中の歯ブラシを持ってきてもらうと、面白い形の歯ブラシに出会うこともあります。
某歯科医師が考えた歯ブラシというのがありますが、この文献読んでいれば作らないと思います。
しっかりとしている会社であれば、歯ブラシの開発するときや歯磨き粉の成分に対しての評価もきちんと研究して発表していますし、臨床結果が出ているものしか世に出ていないはずです。
基礎研究の実験段階で、世に出ている治療法や薬剤があるの実情です。

患者さんの開口量や嘔吐反射の度合いによって、歯ブラシを変更する必要がでてくることはもちろんあります。

しかし、この研究結果から読みとれるように、歯ブラシの形状はプラークの除去率に直接影響しません。
そのため、どんな形状の歯ブラシであっても、プラークさえ除去できていれば、患者さん自身が使っているものをわざわざ変更する必要はないのかもしれません。
歯科医院で取り扱っている製品が、かならずしも患者さんにとってベストなセルフケア用品であるとはかぎりません。
患者さん一人ひとりのお口の状態を把握し、その患者さんが無理なく、効果的にブラッシングできるセルフケア用品をおすすめできるといいのではないかと私は考えます。

また、この研究では、頬側よりも舌側にプラークが多く残存していたとのこと。

「頬側はきれいに磨けているが、舌側や口蓋側にプラークが残ってしまう患者さんが多い」となんとなく感じていた歯科衛生士さんもいるのではないでしょうか。

この文献を知っておけば、歯の裏側は汚れが残りやすいというデータがあるため、より丁寧に磨こうということになります。
舌側や口蓋側にプラークが残りやすいと思ったら、ぜひ丁寧に磨いてみてください。

患者さんひとりひとりの口腔内の状況を理解した上で、適切な指導をすることが歯科衛生士の役目だと思います。

いかがでしたか?

論文で言われていることがすべてとは思いません。
しかし、こういったエビデンスを一つの知識として自分の頭の中に入れておくと、患者さんは、自信をもって自分に合った歯ブラシを選ぶことができますし、歯科衛生士さんは患者さんからの質問に自信を持って答えることができるようになると思います。

歯ブラシや歯間ブラシ、お口のケアについて気になる方は下記をクリックしてください。
歯ブラシ、歯磨き粉、補助清掃器具はどれがいい?

 


関連記事

営業時間 9:00~12:00
14:00~19:00
土曜午後は14:00~17:00
電話 028-612-8660
休診日 木曜、日曜、祝日
※祝日の週の木曜日は診療
所在地 〒321-0156
栃木県宇都宮市兵庫塚町9-1
プレステージみどり野1F
アクセス JR雀宮駅・東武西川田駅より
バス「みどりの一丁目北」下車 徒歩1分
アクセス詳細
はじめてご来院の方へ 歯科衛生士・歯科助手、募集中!

最近の記事

  1. 2024.04.8

    舌痛症

アーカイブ

PAGE TOP